教員免許更新講習の受講者は毎年約9万人?!「うっかり失効」は毎年発生 なぜ更新制は必要?

教員の在り方を検討している中央教育審議会が、導入から10年余りとなる「教員免許更新制」の集中的な見直し論議を始めています。萩生田光一文部科学相が2021年3月の諮問の中で、特に更新制については先に結論を出すよう求めていたためです。そもそも更新制は、なぜ導入され、いま何が課題になっているのでしょうか。

この記事のポイント

10年ごとに講習義務付け

教員免許更新制は、2009年度に導入されました。新しく授与される免許状(新免許状)に10年間の期限を付ける一方、それまでに授与された免許状(旧免許状)には、10歳刻み(35歳・45歳・55歳)で前後2年間のうちに、新免許状と同様、大学などで30時間の免許更新講習を受講することを義務付けることにしました。いずれも修了後、自分で都道府県教育委員会(免許状の授与権者)に行って更新手続きをしなければ、免許状が失効してしまいます。
旧免許状には、もともと期限がありません。そこにあとから期限を付けるのは、制度上無理があります。そこで講習義務付けという、苦肉の策を講じたのです。
更新講習の受講者は、毎年約9万人に上ります。更新講習を受けられるのは、現職教員や、教員への採用が決まっている人などに限られます。

曲折の末「自信と誇り」目的に

教員免許更新制の目的は、「定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ること」とされています。
議論が始まった2000年初頭には、指導力が不足しているなど「不適格教員」を排除する方策としての期待がありました。しかし中教審は、02年2月の答申で、いったん導入自体を見送ったほどです。
それが04年10月、「教員の資質能力の向上」策として文科相から再び諮問されると、中教審は06年7月、あくまで不適格教員の排除策ではない形での導入を答申しました。それが、先の目的というわけです。

多忙化や教員不足で問題に

今や多くの教員が過労死ラインを超えて働くなど、学校現場の多忙化が深刻化しています。そんな中、自分で大学などを探して、講習を受ける余裕をひねり出すのも大変です。
せっかく講習を受けたのに、更新手続きをしなかった「うっかり失効」も毎年あります。手続きミスで教壇に立てないどころか、失職もあり得るというのは、いかにも理不尽です。
さらに今、問題になっているのは、教員不足に拍車を掛けているということです。50代の教員が更新講習を受けずに定年退職し、免許が失効すると、再雇用もできません。また更新講習は、現職か、今後教員になる可能性が高い人しか受講できませんから、期限の切れた「ペーパーティーチャー」を急きょ採用することができなくなっているのです。

まとめ & 実践 TIPS

子どもの教育にとって、質の高い先生に教えてもらうことは、絶対に譲れない条件でしょう。そのための制度はどうあるべきなのか、まさに「既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って」(2021年3月の諮問)検討してもらいたいものです。

中教審 教員免許更新制小委員会
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo16/002/index.html

「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について(諮問)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1415877_00001.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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