【Q&A】なぜ今、教師の養成・採用・研修の在り方が問われている? 「教員免許更新制」はどうなる?

2021年3月に発足した第11期中央教育審議会(任期2年間)に、萩生田光一文部科学相が、教師の養成・採用・研修の在り方を諮問しました。大学に入ってから退職するまでの、生涯にわたって、教師の在り方を問い直そうというものです。なぜ今、教師の在り方が問われているのでしょうか。

この記事のポイント

Q.諮問のきっかけは?

A.直接には、第10期の答申を受けてのものです。

1月の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、新型コロナウイルス感染症に代表されるような「予測困難な時代」に、知・徳・体を一体で育む日本の学校教育の意義を再確認しながら、すべての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現すべきだと提言しました。そのために国は、1人1台端末の整備や、小学校を35人学級とすることも決めました。

しかし、この答申は同時に、そんな学校教育が「子供のためであればと頑張る教師の献身的な努力」によって支えられてきた、とも指摘しています。

そうしたこともあって、答申は、今後の検討課題の一つとして、「『令和の日本型学校教育』を実現するための、教職員の養成・採用・研修等の在り方」を掲げていました。

Q.教師をめぐる環境はどうなっている?

A.「厳しい状況」(諮問理由)にあることは確かです。

2016年度の勤務実態調査では、小学校で3割、中学校で6割もの教師が、過労死ラインを超えて働いている実態が明らかになりました。その後、「学校の働き方改革」が進められたものの、新型コロナ対応で、さらなる負担増も心配されています。

さらに近年、問題視されているのが、教員採用試験の倍率低下です。2020年度の小学校の競争率は全国平均で2.7倍と、過去最低を更新しました。3倍を割ると、思うような教師を採れないと言われています。

まずは優秀で意欲のある人に、教職を目指してもらわなければなりません。教職の魅力をアピールすることも、検討課題の一つです。

Q.「教員免許更新制」はどうなる?

A.諮問では「抜本的な見直し」を求めています。

教員免許更新制は、教師が自信を持って教壇に立ち続けるため、2009年度から導入されています。10年に1度、大学などで更新講習(30時間)を受講し、更新手続きを行わなければ、教師を続けることができません。

しかし、▽忙しくて、受講時間を見つけることが難しい▽希望する講習が取りにくい▽更新講習を受けずに定年を迎えた教師を再任用できない……などの課題も深刻化しつつあります。
諮問では、更新制の方向性について、先に結論を出してほしいと要請しています。

まとめ & 実践 TIPS

大学で4年間勉強して、免許を取れば、一人前の教師として認められ、教壇に立てる……そんな牧歌的な教師像は、すっかり過去のものです。一方で今後、若い先生がますます増えてきます。
教育の質が、教師に掛かっていることは言うまでもありません。今後も学力向上はもとより、子どもの全人的な成長に寄り添ってくれる教師であり続けてもらうには、どうすればよいのか。時代の変化に合わせて、考えていく必要があります。

出典:
中央教育審議会(第128回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1415607_00005.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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