デジタル教科書、小中学校で2024年度から本格導入へ! GIGAスクール構想の1人1台導入で急浮上

文部科学省の検討会議が、2024年度をデジタル教科書(学習者用)の本格導入のきっかけとするよう提案しました。21年4月から「GIGAスクール構想」により、全国の小中学校で1人1台端末の導入が現実化することを受けて、次に小学校の改訂教科書が使われる年度に照準を合わせたものです。デジタル教科書には、どんな利点や課題があるのでしょうか。

この記事のポイント

ネックの「1人1台」実現で急浮上

デジタル教科書といえば、先生が電子黒板に投影する「指導者用デジタル教科書」が普及しています。一方、学習者用のデジタル教科書は、2018年の法令改正で、紙の教科書に代えて正式な教科書として使えるよう、制度改正が行われました。21年度は小中学校とも、デジタル教科書の発行率が95%となる見込みです。

しかし、そもそも端末の数については、3クラスに対して1クラス分の用意もできていない状況だったことから、普及は遅れています。文科省の調査によると、公立学校での普及率は、20年3月現在で、小学校7.7%、中学校9.2%にすぎません。

それが、GIGAスクール構想の策定と実施時期の前倒し、さらには菅義偉内閣で任命された平井卓也デジタル改革相が、教科書を原則デジタル教科書にすべきだとの考えを示したことから、一気に課題として浮上しました。

書き込みや共有が自在、教材とのリンクも

デジタル教科書は、動画や音声とリンクするだけでなく、画面に書き込んだり、消したりすることが、簡単にできます。それを電子黒板やグループ同士で共有することで、意見を交換しながら理解を深めることができます。

画面を拡大したり、読み上げたりする機能は、障害のある児童生徒や、日本語能力が十分でない児童生徒の助けにもなります。
デジタル教材とのリンクも可能です。教科書準拠の教材でなくても、学習指導要領に振られたコード番号を介して、関連教材にたどり着くことができます。
デジタル教科書の入った端末の持ち帰りが認められれば、「重いランドセル」の解消も期待されます。

費用負担も課題

問題は、費用負担です。紙の教科書は、国から無償で配られますが、デジタル教科書には1冊200~2000円程度が、別に掛かります。
文科省は、2021年度予算に、デジタル教科書を普及させる事業を盛り込んでいます。1人1台環境が整った国公私立の小中学校で、小学校の5・6年生と、中学校の全学年に1教科分のデジタル教科書を、国の負担で使ってもらい、効果を実感してもらおうというものです。

まとめ & 実践 TIPS

デジタル教科書の普及で、健康面への影響も心配になります。文科省は、▽授業で端末を使う場合は、30分に1回、20秒程度、目を離して休める▽画面との距離は30~50センチ離す……など健康面に配慮するよう求めるとともに、寝る前の使用を避けるなど、家庭にも留意事項を伝えるべきだとしています。
導入に当たっては、保護者としても学校側から詳しく説明を聞き、子どもにとって安心で効果があるような、デジタル教科書の活用方法を、一緒に考えていきたいものです。

出典:
デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第9回)配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/157/siryo/mext_00014.html

学習者用デジタル教科書等に関する 参考資料集
https://www.mext.go.jp/content/20200710-mxt_kyokasyo-000008653_07.pdf

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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