【Q&A】大学入試の「調査書」が電子化する!? いつからどう変わる?

今春の大学入試も、終盤を迎えました。個別大学を受験する時に必要となるのが、高校から発行される「調査書」です。現在はもちろん紙の文書ですが、文部科学省は、この調査書を電子化することを検討しています。なぜ、電子化が検討されているのでしょうか。電子調査書による出願は、どのようなものになるのでしょう。

この記事のポイント

Q.なぜ電子化されるの?

A.受験生を多面的・総合的に評価するためです。

高大接続改革の一環としての大学入試改革では、知識・技能だけでなく、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性という「学力の3要素」すべてを評価して、その大学の教育方針にふさわしい入学者を選抜することが求められます。一発勝負のペーパーテストだけでは3要素すべて、とりわけ主体性・多様性・協働性が評価できないことは、言うまでもありません。
これまでも調査書は、出願時に必須でした。しかし、推薦入学などを除いては、あまり活用されてこなかったことは否めません。
そのため、もっと調査書を活用しやすくしようと、電子化を検討することになったのです。

Q.どんなふうになるの?

A.生徒にとっては、先生に「調査書を書いて」とお願いし、後はパソコン画面のボタンを押すだけの簡単な作業で済むことになります。

文科省は、電子調査書システムをどう作ったらいいか、関西学院大学に委託して、研究してもらっています。同大学の巳波弘佳教授は、2021年2月に開かれた同省の会議に、その概要を報告しました。
まず生徒は、「電子調査書システム」に、あらかじめ配布されたIDを用いて、ログインします。さらに、志望校(調査書を提出する大学)を検索し、電子調査書「必要」にチェックを入れます。
ただし、これで終わりではありません。高校の先生に、調査書を発行してもらうよう、直接お願いする必要があります。先生は、校内で作ったその生徒の電子調査書を、システム上にアップロードし、提出大学に登録します。
これで、いつでも出願できるようになります。後は、出願を受けた大学が、同システムから、志願者の調査書をダウンロードするだけです。

Q.いつから電子化されるの?

A.2022年度からという当初の目標は、遅れそうです。

巳波教授は、技術的には21年4月からでも可能だと報告しました。しかし、現在はあくまで委託研究段階です。正式に報告を受けた文科省が、改めて電子調査書システムを構築する必要があります。
一方で、学校側にも、調査書や、その基になる指導要録を、デジタルで作成するための「統合型校務支援システム」を整備する必要があります。校務支援システムの導入状況(20年3月段階)は、公立高校で約79%でした。
さら現在、政府は、デジタル庁の新設をはじめとした、デジタル社会の推進を方針に掲げています。その動向を考慮する必要も出てきました。

まとめ & 実践 TIPS

最近は、ウェブ出願を導入する大学も増えています。電子化は、時代の流れとも言えます。
それには、ICT(情報通信技術)環境の整備が不可欠です。これを機会に、校務支援システムの整備はもとより、高校生にも1人1台端末を整備するなどの施策が求められます。

出典:
・2021度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1397731.htm

・大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議(第10回)配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/106/siryo/1417595_00008.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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