私立高校と公立高校の学費はどれくらい違う？ 初年度の負担額や無償化の手続きは？

小学校・中学校・高等学校の中で、最も学費が高くなりがちなのが高等学校です。「私立高校は学費が高いと聞くけれど、実際はどれくらいなの？」と疑問に思っている保護者のかたもいらっしゃるでしょう。そこで今回は、私立高校と公立高校の学費を比較するとともに、高校の授業料負担を軽減する制度についてもご紹介します。

高校の学費は3年間で平均いくら？ 私立と公立の差は？　

文部科学省が行った「令和3年度子供の学習費調査」によると、高校に支払う学費「学校教育費」の全国平均は以下のとおりでした。

「子供の学習費調査」の「学校教育費」という項目を詳しく説明すると、授業料、教科書費、実験や実習などの費用、遠足・修学旅行の費用、学校指定の物品の購入費用など、学校へ支払う費用を指します。

公立高校の1年間の学校教育費が約31万円、私立高校の1年間の学校教育費が約75万円なので、単純に計算すれば公立高校の場合は3年間で約93万円、私立高校では約225万円。私立高校の学費は、公立高校の約2.4倍高くなっています。

ただし、私立高校の授業料は学校ごとに大きく異なるため、正確な金額は高校の公式サイトなどでご確認ください。

学習塾費や習い事の平均はいくら？

お子さまが高校に入ってかかる費用は、学校教育費だけではありません。大学受験のために家庭教師や学習塾に通ったり、習い事などをしていたりするご家庭もあるでしょう。

文部科学省の「子供の学習費調査」では、家庭教師や学習塾費などを「補助学習費」、習い事などその他さまざまな活動にかかる費用を「その他の学校外活動費」とし、2つを合わせて「学校外活動費」と記されています。

私立高校と公立高校の学校外活動費の平均金額は以下のとおりです。

「補助学習費」と「その他の学校外活動費」いずれでも私立のほうが高く、1年間の差は約10万円です。これが3年間かかるため……

【3年間の学校外活動費】
私立高校：約91万円
公立高校：約61万円
となります。

塾に通う・通わないは、ご家庭ごとの判断であり、「私立に通ったらお金をかけなければいけない」というわけではありません。きょうだいがいたり祖父母の援助があったりすれば状況も変わります。

ただ、私立に通うと学校外でかかる費用も増える傾向にあるということは、理解しておく必要があるでしょう。大学受験をする高校生は、3年生の補助学習費が大きくなりがちなので、しっかり貯蓄をしておく必要があるでしょう。

高校入学初年度でかかる学費は？

ここで、高校入学初年度でかかる学費を見てみましょう。高校入学の際は、授業料に加えて入学金や制服代、その他学校指定の物品を購入する必要があるため、他の学年よりも学費が高額になります。

「令和3年度子供の学習費調査」によると、高校1年生でかかる学習費総額の平均は上記のとおりです。「学習費総額」とは前述した高校に支払う「学校教育費」と「学校外活動費」を合わせたものを指します。

私立高校は、平均約16万円の入学金がかかるため、公立高校に比べると費用は約2倍となっています。このように、私立高校では入学時にはまとまった費用がかかるため、慌てないためにも、しっかり貯蓄を進めておくとよいでしょう。

高校でかかる学習費総額は？　私立と公立の差は？

最後に、高校3年間でかかる学習費総額を比較してみましょう。

私立高校の生徒の場合、1年間の学習費総額は約105万円なので、3年間では約320万円になります。一方、公立高校の1年間の学習費総額は約51万円なので、3年間では約154万円です。

3年間の学習費総額を比較すると、私立高校は公立高校の約2倍になっています。

高校にはどのような支援制度がある？　高校の実質無償化とは？

高校での学費を見て、「大きく家計の負担になりそう……」と思われた保護者のかたもいらっしゃるでしょう。ここでは、高校生のための支援制度をご紹介します。

高校生の代表的な支援制度に「高等学校等就学支援金制度」があります。これは、所得などの要件を満たせば、高校の授業料を国が支援する制度です。公立や一部の私立では支給額で授業料を相殺できるため、「高校の実質無償化」とも言われています。

世帯年収と家族構成によって支援対象者が決まり、上記の表の場合、公立では世帯年収約910万円未満の世帯の生徒が、私立では約590万円未満の世帯の生徒が支援の対象です。支給上限額は、高等学校の種類によって異なります。

【支給上限額（年額）】
公立高校（全日制）：11万8,800円
国公立の高等専門学校（1～3年）：23万4,600円
私立高校（全日制）：39万6,000円
私立高校（通信制）：29万7,000円

対象となる新入生は4月の入学時、在校生は7月ごろに学校から案内を受けて手続きを行います。お住まいの都道府県や市区町村によっては、この制度に上乗せする形で独自の支援を行っているところもあるため、ホームページなどでお住まいの地域の制度を確認してみてくださいね。

また、授業料以外の教育費については、生活保護受給世帯や住民税所得割が非課税の世帯を対象とする「高校生等奨学給付金」制度もあります。問い合わせは、都道府県の担当窓口へご連絡ください。

▶高校生等奨学給付金のお問い合わせ先一覧

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