ますます重要に! 全国に増えている「コミュニティ・スクール」ってなに?

学校と地域の関係を深める「コミュニティ・スクール」(学校運営協議会制度、CS)を導入した公立の小中学校や義務教育学校が、2020年7月現在で30%を超えたことが、文部科学省の調べでわかりました。自治体単位(複数の自治体で学校を設置する「学校組合」を含む)では48.5%と、半数に迫る勢いです。設置がゼロの県でも類似の仕組みを実施するなど、取り組みは今や全国に広がっています。背景には何があるのでしょうか。

この記事のポイント

強い権限、かえって導入を控え

CSは、保護者や地域住民が、学校の運営に参加できる仕組みとして、2004年に制度化されました。学校の運営方針を承認したり、先生の人事に関して教育委員会に意見を述べることができたりするなど、運用の仕方によっては、強い権限を持つこともできます。
ただし制度化以降、導入する学校数がなかなか増えなかっただけでなく、域内のほとんどの学校を指定する自治体がある一方、導入がゼロという自治体が多い、という実態が長く続きました。

主な理由としては、強い権限を発揮して学校運営に関わろう、というよりも「学校の応援団」として、実質的な関係を深めることを優先したい、という学校や自治体の意向が強かったものと見られます。

「地域とともにある学校」へ転換、努力義務に

風向きが変わったのは、2015年12月の中央教育審議会答申と、17年4月の法令改正です。ここでは、学校が地域と一体になって子どもたちを育む「地域とともにある学校」への転換を目指す一方、教委に対して、CSの推進を努力義務化しました。
特に大きかったのは、「地域学校協働本部」との一体的な運用です。地域学校協働本部は、幅広い層の地域住民や団体が参加して、地域と学校が目標を共有しながら、緩やかなネットワークを作ろうというものです。

CSが学校中心の活動だとするならば、地域学校協働本部は、地域中心の活動だと考えれば良いでしょう。両者が両輪となって、学校と地域を盛り立てていこうという考えです。
文科省調査によると、CSのみを導入している公立学校は7.6%にとどまり、23.0%と多くが、地域学校支援本部も整備しています。ちなみに、地域学校支援本部のみを整備している学校は37.2%もあります。

「社会に開かれた教育課程」のためにも

新しい学習指導要領は、理念として「社会に開かれた教育課程」を掲げています。保護者や地域の協力を得て、社会とのつながりを重視して学ぶことにより、変化の激しい世の中で活躍できる力を、子どもに付けさせようという考えからです。
地域に開かれた教育課程の下では、地域をフィールドとして学ぶことはもとより、将来その地域を担っていく住民を育てるにも、その地域でどんな資質・能力が必要になるのか、地域ぐるみで考えていくことが、地域活性化のためにも求められます。たとえ、その地域を出たとしても、地域で学んだことが基礎となって、さらに学びが深まることが期待されます。

まとめ & 実践 TIPS

このように、CSや地域学校協働本部は、これからの授業づくりを進めるためにも、重要な存在となっています。努力義務の対象外になっている国立や私立も含め、学校づくりや、地域に開かれた教育課程づくりのツールとして、積極的な活用が広がってほしいものです。

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度) =文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/suishin/index.htm

2017・18年改訂学習指導要領の詳しい内容 =同
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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