「中1ギャップ」は中1からじゃない!?

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う全国一斉の休校措置で、新学期どころではありませんでした。小学校から中学校に進む段階で、いじめや不登校が急増する「中1ギャップ」を感じる暇もなかった……と、安心してはいられません。いわゆる中1ギャップは、中学1年生になる段階で突然、何かが起こるわけではない、というのです。そうなると、長期の休校に続く再開後の学校生活や、短い夏休みなど、何かとストレスが重なっている子どもたちにも、無縁な話ではないかもしれません。

この記事のポイント

特別支援の観点加えリーフ発行

国立教育政策研究所は、「生徒指導リーフS」シリーズの刊行を始めました。これまで発行してきたリーフのうち、特別支援教育(Special Needs Education)の視点がより重要となっているものに、国立特別支援教育総合研究所と共同で、関連する記載の充実を図ったとしています。
このうち「『中1ギャップ』の真実~発達障害の特性等に応じた小中のつながり~」(Leaf.15S)は、2014年4月に発効したリーフ(Leaf.15)の増補版です。

いじめも不登校も問題は小学校から

このうち「中1ギャップ」という用語の問題点に関する部分は、もとのLeaf.15と変わりはありませんが、改めて注目してみましょう。
そもそも中1ギャップという用語に、明確な定義はありません。さらに、その前提になっている、中1でいじめや不登校が急増する、ということも「客観的事実とは言い切れない」としています。
いじめの件数は、文部科学省が統計を取っています。ただし、これは学校による「認知件数」です。いじめの軽重などの実態を反映しているわけではありません。小学校では、ささいないじめも細かく把握しているため、「被害経験率」が当然、中学校より高くなります。
不登校も、小学校時代に欠席や遅刻・早退の目立たなかった児童が、中1になって、いきなり不登校になる割合は、20~25%程度だといいます。
要するに、中1ギャップとして現れる問題も、実は小学校の時から始まっている場合が少なくない、というわけです。

発達障害の子は進学時に注意

特別支援教育の視点を加えたのが、Sシリーズの特徴です。学級担任制の小学校と違って、教科担任制の中学校では、教科ごとに先生が変わります。発達障害のある児童生徒には、環境の変化に対応することが苦手という特性があります。これは、確かに「中1ギャップ」と言えるでしょう。
リーフでは、小学校で見られた課題や必要な支援を引き継ぎ、中学校の教職員間で共有していくことを求めています。進学先で、必要な個別支援を受けることにより、中1ギャップを軽減することはできるのです。

まとめ & 実践 TIPS

生徒指導(生活指導)をめぐっては、障害のあるなしにかかわらず、児童生徒一人ひとりをきめ細かく見取り、必要な指導や支援を行うことが求められます。小中学校という義務教育9年間を見通して、発達と成長を促す視点も不可欠です。
「ギャップを作りだしているのも、それを埋めることができるのも教職員」というリーフの指摘を、学校側でもきちんと受け止めて対応してもらうよう、期待したいものです。


「生徒指導リーフS」シリーズ
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/index.html#leafs-series

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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