学生目線で見た今どきの大学教育は? どんな判断基準で大学を選ぶべき?

文部科学省が、2019年末に初めて実施した「全国学生調査(試行実施)」の結果をまとめました。大学でどんな教育が行われているのかを、学生の目線から把握しようとするものです。将来的には、受験生の大学選びにも役立ちそうです。今どきの大学教育は、どうなっているのでしょうか。

きめ細かな指導が広がる

大学に入ってから受けた授業で「よくあった」「ある程度あった」の合計は、「小テストやレポートなどの課題が出された(期末テストは除く)」93%、「授業内容の意義や必要性を十分に説明してくれた」85%、「理解がしやすいように教え方が工夫されていた」83%など、昔のように学生の自主性に任せるのではなく、きめ細かく指導して力をつけてもらおうという大学側の姿勢がうかがえます。ただし、「適切なコメントが付されて課題などの提出物が返却された」は43%にとどまっています。

「グループワークやディスカッションの機会があった」と「教員から意見を求められたり、質疑応答の機会があった」はともに71%と、アクティブ・ラーニング(大学教育では「能動的学修」と訳す)が当たり前になりつつあります。とりわけ国公私立を問わず、小規模の大学ほど行われる傾向にあります。
大学教育が役に立っていると思う割合(「とても役に立っている」「役に立っている」の合計)は、「専門分野に関する知識・理解(87%)や「将来の仕事に関連しうる知識・技能」(80%)はもとより、「多様な人々と協働する力」(80%)、「人に分かりやすく話す力」(73%)、「論理的に文章を書く力」(70%)も高くなっています。

そのためにも、しっかり勉強しなければなりません。1週間(授業期間中の7日間)の平均生活時間は、「授業(実験・実習含む)への出席」16.6時間、「予習・復習・課題など授業に関する学習」4.8時間、「授業以外の学習」4.1時間と、計25.5時間でした。

各大学の改善、さらに促す

ところで文科省は、なぜ、こんな調査を始めたのでしょうか。直接のきっかけは、2018年11月の中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」でした。各大学が教育に関する情報を把握して公表し、社会も理解しやすいよう、国が一覧化すべきだと提言しました。

大学が「取り組んでいます」と言っても、その意図が学生に伝わり、教育が効果を上げていなければ、何にもなりません。そこで、スマートフォン(スマホ)から10分程度で回答できるようにして、学生の本音を引き出す工夫もしています。
調査はまだ試行のため、全大学が参加したわけではありませんし(調査対象は515大学)、大学・学部ごとの集計も行われません。しかし本格実施では、各大学の教育の改善状況が学生目線から可視化される見通しです。主な入学年齢である18歳人口が減少する中、生き残りを懸けて必死な大学に、具体的な改善の努力を促すことも、調査の狙いです。

まとめ & 実践 TIPS

既に2人に1人が、大学に進学する時代です。その大学が本当に自分に合っていて、自分の実力を伸ばし、社会で活躍できるようにしてくれる大学かを判断することが必要です。全国学生調査が本格実施となれば、偏差値以外の有力な情報となりそうです。


(筆者:渡辺敦司)

※全国学生調査(文部科学省ホームページ)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/chousa/1421136.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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