「自分で学ぶ力」が問われるコロナ後の学び(3) 学習の質を高めるには? ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(15)

多くの地域で休校措置が解除されましたが、感染リスクの点からすぐに以前と同じ学習環境に戻るのは難しい状況です。自治体や学校の対応も全国一律ではなく、バラつきが出る可能性が高いでしょう。そのような状況下で、子どもの家庭学習をどう考えたらいいのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所/チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)の木村治生・主席研究員が、お話ししていきます。

●ウィズコロナで求められる「自分で学ぶ力」

ウィズコロナで以前のような学習が思うようにできない今は、「自分で学ぶ力」がますます重要になります。そこで今回は、学習の質を高めて効果的に学ぶ方法、さらには、保護者のかたが関わるときのポイントをご紹介します。

自分で学習して成果を上げるには、一定の学習時間を確保することに加えて、その中身を充実させる必要があります。ベネッセ教育総合研究所が小学生から高校生までを対象にした研究でも、成績などのアウトカム(成果)には勉強時間のような「量」が関係するものの、それよりも学習の仕方のような「質」に関わる部分のほうが、ずっと影響していることがわかりました。学習は、やり方によって成果が変わるのです。

●“メタ認知”が学習の質を高めるカギ

学習の質を高めるには、自分の学習の仕方を振り返って、自分に合ったやり方を工夫する必要があります。そのカギの一つが、「メタ認知」です。メタ認知とは、自分の状況を客観的にとらえる心の働きです。図の中の少年のように、自分の活動を客観的にとらえられると、次にどうしたらよいかを考えて、適切な行動をとりやすくなります。
ウィズコロナの状況でいうと、思うように学習できない状況を理解し、自分に必要な学習が何かを考えたり、楽しく勉強する工夫したりといったことが大切です。こうした判断に、メタ認知という機能が関わっています。

ただし、そのような力はすぐに身につくわけではありません。そもそも、メタ認知は、小学校高学年くらいにならないと十分に発達しないと言われていて、子どもにとっては難しいことなのです。とはいえ、難しいからといって保護者のかたや先生がすべてを指示してやらせていては、自分で学ぶ力は育ちません。年齢に応じて、何を学ぶか、どう学ぶかを子ども自身に考えてほしいと思います。

●保護者は子どもが自分で気づけるような働きかけを

そのために、保護者のかたはどう関わればいいのでしょうか。たとえば、わからない学習内容があったときに、保護者のかたが手取り足取り解き方を教えるのは、メタ認知の育成という点でおすすめできません。それよりも、いつ・どこでそれを学んだのかを思い出させたり、何を調べたらいいのかを考えさせたりするほうが、メタ認知を鍛えます。子どものメタ認知は十分ではありませんから、大人として考え方や調べ方をアドバイスするのは有効です。そのとき、子ども自身が考えることをうながすのが、ベストだと思います。

以上のことは、ウィズコロナの状況に限らず、子どもの学習の質を高めるうえで効果的です。しかし、学習環境が不完全な今だからこそ、「どうしたら楽しく、自分に合った学習ができか」を、親子で考えてみてもいいかもしれません。

上記記事はベネッセ教育総合研究所が運営するチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)に掲載した動画をもとに作成したものです。
チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は「子どもは未来である」という理念を掲げ学際的、国際的な活動を推進する、インターネット上の「子ども学」研究所です。ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

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プロフィール

木村治生

木村治生

CRN主席研究員、ベネッセ教育総合研究所主席研究員。
ベネッセコーポレーション入社後、子ども(乳幼児~大学生)、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究、 学習のあり方についての研究、教育市場(産業)の調査などを担当。 文部科学省や経済産業省、総務省から委託を受けた調査研究にも数多く携わる。 東京大学客員准教授(2007年、2014~16年)、追手門学院大学客員研究員(2018年~)、横浜創英大学非常勤講師(2018年~)、文部科学省「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」委員(2013年)、「中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業」における選定委員会委員(2017年)、光り輝く「教育立県ちば」を実現する有識者会議委員(2014年)、富山県学力向上対策検討会議アドバイザー(2014年)、草加市子ども教育連携推進委員会専門部会委員(2014年~)など。専門は社会調査、教育社会学。

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