ジェンダー平等は女性校長の活躍から!?

持続可能な開発目標(SDGs)の17ある目標のうち、目標5は「ジェンダー(社会的性差)平等を実現しよう」です。あらゆる場所で女性や女児に対する差別を撤廃し、政治や経済、公共分野などでの意思決定でも、女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保することを目指しています。

また、女性自身のためにとどまらず、SDGsのすべての目標の進展に貢献するものと位置付けられています。これに関して独立行政法人国立女性教育会館は、学校の先生の役割が重要だと訴えています。どういうことでしょうか。

小学校の教員は女性のほうが多いのに…

同会館がこのほど刊行したリーフレット「学校における女性の管理職登用の促進に向けて」では、日本の施策としても男女共同参画の実現が大きな課題となってきたにもかかわらず、世界経済フォーラムが毎年公表している「ジェンダー・ギャップ指数(GGGI)で2019年に日本が153カ国中121位であることに注目。直接的な要因である政治分野と経済分野に対しては2016、2018年に法整備がなされたものの、「学校教育の分野における男女共同参画はどうでしょうか」と疑問を投げ掛けています。

学校は、一般企業の雇用機会均等よりずっと早く、女性も男性と同様に活躍できる職場だと見なされてきました。実際、小学校の教員は女性比率が62.4%(2019年度、以下同じ)と、むしろ数の上では優位です。しかし、管理職となると▽教頭27.0%▽副校長32.1%▽校長20.6%……と、今も男性優位です。

これが中学校以上になると、教員全体と校長の女性比率は、中学校がそれぞれ44.0%、7.4%、高校が33.7%、7.5%と、既に教員採用段階から女性が少なく、管理職はさらに狭き門となっています。経済協力開発機構(OECD)の2018年調査で、中学校長の女性比率が加盟国平均で半数近くだったのと比べても、大きな差です。

模範となるべき教員自身に偏見

教員の意識にも、ジェンダーが影響しています。
同会館が2018年度、教員を対象に実施した調査では、「家事・育児は女性のほうが向いている」と答えたのは、女性教員で42.9%、男性教員で55.9%でした。これが「理数系の教科は、男子児童生徒のほうが能力が高い」になると、各25.6%、19.7%と、全体から見れば少ないものの、むしろ女性教員のほうがジェンダーにとらわれています。
教員も児童生徒も、気付かないうちに「女性は文系に向いている」といった偏見に影響され、実際の進路も方向付けられている可能性があります。教員志望も同様でしょう。

さらに教職に就いてからも、「男性のほうが女性より管理職に向いている」との回答が各29.7%、21.3%と、やはり女性自身が固定観念に縛られています。
リーフレットでは、学校でのジェンダー平等を果たすためにも、女性の管理職を増やすことが重要だとしています。教員の働き方はもとより、学校運営の意思決定に女性が参画することで、子どもたちの性別役割分担意識にも好影響を与えるからです。

子どもたちにとって教員は、最も身近な大人のロールモデル(模範)です。学校での完全なジェンダー平等を実現することが、社会全体でのジェンダー平等を目指す第一歩となるのです。

(筆者:渡辺敦司)

※国立女性教育会館「学校における女性の管理職登用の促進に向けて」
https://www.nwec.jp/about/publish/2019/ecdat600000078yg.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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