新型コロナ長期戦に自己調整力を

学校は3月以来、新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、休校の延長に次ぐ延長が各地で相次いでいます。新型コロナは、いったん国内で終息の兆しを見せたとしても、いつまた再発するかわからず、長期戦も覚悟しなければなりません。ますます子どもの学習に遅れが出ないか、心配になります。休校時はもとより、授業が再開されても、家庭での自習が重要になることは言うまでもありません。そうした事態を受けて、子どもへの働き掛けをどうしたらいいのかを考える時、新学習指導要領の実施に伴う学習評価のキーワードが浮かび上がってきます。「自己調整力」です。

「粘り強さ」とセットで

新指導要領では、学校教育法で規定されている「学力の3要素」((1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)主体的に学習に取り組む態度)を広げ、すべての教育活動で「資質・能力の三つの柱」((1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等)を育成することを打ち出しました。
学習評価についても、従来は「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4観点が設定されていましたが、指導要領の改訂に伴って、資質・能力に対応する形の3観点で整理することにしました。
ただし「学びに向かう力・人間性等」には、感性や思いやりなど、個人の価値観まで評価することになりかねません。そこで、評価できる分として、学校教育法上の「主体的に学習に取り組む態度」とすることにしました。
主体的に学習に取り組む態度は、「粘り強く学習に取り組む態度」(粘り強さ)と、「自ら学習を調整しようとする態度」(自己調整力)の二つの側面で評価することにしました。「自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面」と説明されています。

家庭も連携・協力へ

ここで言う主体的に学習に取り組む態度は、本来なら学校で、各教科をはじめとした教育活動全体を通して、育んでいく必要があります。とりわけ小学校では、今年度から新指導要領が全面実施となっています。新教育課程が本格的にスタートし、資質・能力の育成に全力を傾けるはずでした。
しかし、文部科学省のまとめによると、4月22日時点で91%の学校が臨時休校を実施していました。3月の全国一斉臨時休校で欠けた、前年度分の授業も補充しなければならいません。授業日数を確保するには、夏休みを削るなどの工夫も避けられない情勢です。年間を通して、子どもたちの生活リズムが心配になります。そうした中、粘り強さと自己調整力というキーワードで、主体的に学習に取り組む態度を子どもたちに育むことは、ますます不可欠になっていくことでしょう。
学校と家庭や地域が共有する「社会に開かれた教育課程」というのも、新指導要領のキーワードです。現下のような非常時には、授業さえ通常通り行えない学校の取り組みには、どうしても限界があります。目指すべき教育の理念を、家庭も連携・協力して、お互い足りないところを補いながら、子どもたちに主体的に学習に取り組む態度を育むことが求められます。

(筆者:渡辺敦司)

※学習評価(2019年3月の文部科学省通知)
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm

※新学習指導要領(2016年12月の中央教育審議会答申)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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