着実に進む国立大学の国際化

お子さんを国立大学に進ませたいと考える保護者のかたも少なくないことでしょう。国立大学は、グローバル化が急速に進む社会の中で国際的に活躍できる人材を輩出しようと、国際化対応に力を入れています。国立大学協会(国大協)は2013年に、20年までの数値目標を掲げた推進方針を打ち出しています。現状はどうなっているのでしょうか。

日本人学生の留学は目標値超え

国大協が公表した第7回フォローアップ調査結果によると、2019年11月現在の受け入れ外国人留学生数(学部と大学院の合計)は4万8,483人で、前年同期に比べ1,463人増えました。総学生数に占める比率は、0.3ポイント増の8.0%です。方針策定年の同期(6.1%)から着実に増えていますが、目標値は10%ですから、20年内の達成は難しそうです。

これに対して、日本人学生の海外留学数は2018年度に3万2,828人(前年度比3,367人増)となり、13年度と比べると倍近くになりました。留学率は5.9%と、既に目標値の5.0%を突破しています。この間、若者が海外に出たがらないという「内向き志向」が指摘されながらも、少なくとも国立大学の学生に関しては、大学側が働き掛けを強めていることもあって、留学への関心が高まっているようです。

もっとも内訳を詳しく見ると、1年以上の「長期」が426人(学部229人、大学院197人)、1年未満の「短期」が3万2,402人(各2万2,087人、1万315人)と、まだまだ短期留学が主流です。

ただ、海外大学と交流協定を結ぶ大学は年々増加しています。留学先の学位も取れる「ダブル・ディグリー」などの国際共同学位プログラムの開設は、学部段階では国立でもまだ一部にとどまっていますが、今後は増えていくものと予想されます。

「英語で授業」、大学院では当たり前?

大学が教育と研究の両面で国際的な地位を確立していくには、外国人教員や、英語での授業を増やす必要があります。2019年5月現在の外国人教員数は3,076人(前年同期比105人増)で、全教員数に占める比率は4.8%にまで増えましたが、目標値の6.4%はまだまだ遠そうです。

これに対して、英語で授業を実施している大学は、学部段階で82大学のうち67大学、大学院段階で86大学(大学院大学も含む)のうち74大学を占めています。授業科目数で見ると、学部では8587科目と、目標値(2012年度の3,771科目を倍増=7,542科目相当)を超えました。大学院では2万8,216科目と、既に目標値(同8,068科目を倍増=1万6,136科目相当)の2倍近くになっています。大学院に進むことまで視野に入れるなら、今や英語で授業を受けられる英語力を身に付けることは必須と言えそうです。

留学の促進策として大学独自の奨学金制度を既に導入しているのは、外国人留学生向けで66大学、日本人学生向けで76大学となっています。官民を挙げて留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN 」とも相まって、更なる支援が求められます。

新型コロナウイルスの問題で留学熱が冷え込むことも心配ですが、それだけ国境を超えた人的交流が当たり前になっていることの表れでもあります。国内でも進行するグローバル化に対応できる子どもたちの育成に、力を入れたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※国立大学協会「国立大学における教育の国際化の更なる推進について」第7回フォローアップ調査結果
https://www.janu.jp/news/whatsnew/20200220-wnew-followup.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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