18歳の投票率低下、主権者教育の立て直し急務!

7月21日に行われた参院選では、18・19歳の投票率が31.3%と、初めて選挙権年齢が引き下げられた前回(2016年7月)より約15ポイント低下しました。全体の投票率が約6ポイント減の48.8%になったのと比べても、落ち込みが目立ちます。
この結果を、どう考えればいいのでしょうか。

初回は高かったけど…

前回の参院選は、2015年6月の公職選挙法改正で選挙権年齢が引き下げられて初の国政選挙ということで、選挙を所管する総務省と、学校を所管する文部科学省は、18・19歳の投票率を高めようと「主権者教育」を進めてきました。
両省は、高校の授業ですぐ使える副教材『私たちが拓(ひら)く日本の未来』も作成。公民科などに討論型の授業を勧める他、各地の選挙管理委員会が本物の投票箱などを貸し出して模擬投票も行われました。また、NPOなどの民間団体が仮想の立候補者と公約を用意して模擬投票してもらうような学校支援も盛んになっています。

前回の参院選に関しては、初めて選挙権を得たということで当事者たちの関心も高く、また都道府県の教育委員会なども投票率向上のため所管する高校などに主権者教育を行うよう促したこともあっての好結果だったと言えるかもしれません。

それに対して「平常時」に戻った今回は、選挙の争点が比較的不明確で、社会全体の関心が薄かったという事情はあるにしても、将来の社会を担うべき若い世代が政治への関心が低いままということは問題です。主権者教育も、その立て直しが求められます。

発想を変え、すべての教育活動で

参院選直後の同26日に開催された文科省の「主権者教育推進会議」では、結果を受けて、小学校から主権者教育を行ったり、保護者が子どもを連れて投票に行ったりすることが必要だといった発言が、委員からありました。家庭でも子どもが小さいうちから政治の話をすることは、主権者意識を育む上では有効でしょう。

その上で、やはり学校での主権者教育が重要です。一方で学校現場は、ただでさえ授業や教科書をこなすのが精いっぱいで、先生の多忙化解消も大きな課題となる中、模擬投票などの時間を捻出するのさえ大変なのも現状です。

しかし、そこは発想を変える必要もあります。そもそも教育は「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」(教育基本法1条)ものです。
主権者教育は「単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせること」(2016年6月の文科省「主権者教育の推進に関する検討チーム」最終まとめ)であり、教基法の理念に一致するとともに、「社会に開かれた教育課程」を掲げて「主体的・対話的で深い学び」を求める新しい学習指導要領にも沿うものです。

極論すれば、すべての学校教育活動が、主権者教育ないし市民性の育成につながるものでなければなりません。家庭も連携して、社会全体で子どもを主権者として育成していきたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※主権者教育の推進(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/1369165.htm

※主権者教育推進会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/142/index.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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