外国ルーツの子と一緒に世界へ羽ばたけ!

外国にルーツを持つ子どもが、全国どこの教室にもいても珍しくない時代になっています。4月から改正入国管理法が施行されたことを弾みに、外国籍の子どもも今後ますます増えていくことでしょう。同じ日本社会で生活する仲間として、どう接していけばよいのでしょうか。

市町村の半数以上で指導が必要

文部科学省の調べ(2016年度)では、公立学校で日本語がうまく使えず、指導を必要としている子どもは、全国に4万3,947人いました。前年度より6,852人増えています。この10年間で1.7倍になりました。国籍は外国とも限りません。日本語指導が必要な子どものうち、5人に1人以上(22.9%)が日本国籍でした。

日本語指導が必要な子どもの数を都道府県別にみると、東海地方や関東地方、大阪府など、一部の地域に集中していることがわかります。ただし、公立学校に日本語指導が必要な子どもがいるという市町村は、53.6%と半数以上あります。こうした状態は、「集住化・散在化」と呼ばれています。1か所にたくさん集まって住んでいる地域があるのと同時に、全国に散らばる傾向もある、ということです。

ふだん子どもが使っている言葉(母語)もいろいろです。外国籍の子どもでは、ポルトガル語、中国語の順に多くなっていますが、それ以外の言葉もたくさんあります。一方、日本国籍の子どもでも、よく使っている言葉は、フィリピン語、中国語の次に、日本語が来ています。親など保護者が日本語をうまく使えず、子どもが日本語を通訳してあげている家庭も少なくありません。

国も対策を検討へ

そのように日本語指導を必要としている子どもに対して、4人に1人は、補習などの特別な指導がきちんと受けられていません。学校に日本語指導を専門とする先生がいなかったり、たとえ外国ルーツの子どもが多い学校でも、子どもがふだん使う言葉がたくさんあったりして、先生も、なかなか指導が大変です。 文科省も、日本語指導が必要な子どもの数に見合った形で日本語指導ができる先生を増やそうとするなど努力しているのですが、日本語指導が必要な子どもが急に増えているため、対応がなかなか追いつかないようです。

そんな中、文科省では「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」を設けて、対策の検討を始めました。検討結果は、もっと大きい会議である中央教育審議会に報告して、さらに国としての対策を考えることにしています。

有識者会議の検討事項は、(1)外国人の子どもの就学機会の確保(2)外国人児童生徒等に対する教育の充実(3)異文化理解や多文化共生の考え方に基づく教育の在り方……となっています。このうち(3)は、日本で生まれ育った子どもにも大事なことでしょう。

「グローバル化」というと、とかく日本人は英語を使って西洋風のやりとりをすることを考えてしまいますが、これからはアジアやアフリカなど多様な国々の、言葉も文化も全然違う人たちと付き合っていくことが当たり前の時代になっていきます。

そうした中で、外国ルーツのクラスメートと付き合うことができるのは、日本の子どもにとっても貴重な機会になるはずです。逆に外国ルーツの子どもは、ルーツである外国と日本の架け橋になってくれる可能性があります。外国ルーツの子も日本ルーツの子も一緒に学ぶことで、世界に羽ばたくグローバル人材に育っていってほしいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第1回)会議資料
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/06/1418200.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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