教科担任制にとどまらない!中教審への諮問

柴山昌彦文部科学相が4月、中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方」を審議するよう諮問を行いました。小学校にも教科担任制を導入することが大きな注目を集めていますが、諮問タイトルにもあるように、検討事項はそれだけではありません。
小学校の教科担任制にしても、実際に一部で行われている教科担任制を拡大するというだけではないようです。

普通科改革や脱「文・理」、STEAMも

柴山文科相が審議を求めた検討事項の柱は、(1)新時代に対応した義務教育の在り方(2)新時代に対応した高等学校教育の在り方(3)増加する外国人児童生徒等への教育の在り方(4)これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等……です。
これだけ見ても、広範囲な審議が求められていることがわかるでしょう。

(2)では、高校生の7割を占める普通科に、どんな新しいタイプを作るかが注目点です。一方で「文系・理系の類型にかかわらず」さまざまな科目を学ばせることは、学科にかかわらず求められることでしょう。科学・技術・工学・芸術・数学を教科横断的に学ばせる「STEAM教育」が掲げられているのも見逃せません。

(3)に関しては、改正入国管理法の施行に伴って、今後ますます外国をルーツとした子どもたちがクラスで増えてくることが想定されます。そんな子たち自身が日本社会に適応し、資質・能力を伸ばすだけでなく、小さい時から日本で育った子どもたちも一緒に学び、共に社会をつくっていく基礎を築くという意味でも、すべての子どもたち、さらに言えば大人も含めた社会的な課題だと言えるでしょう。

(1)の中で、「特定分野に特異な才能を持つ者や障害のある者を含む特別な配慮を要する児童生徒」への教育を検討事項に挙げているのも見逃せません。「特異な才能」を障害のあるなしにかかわらず伸ばしてあげることは、子ども自身のみならず社会をも発展させてくれます。そのためには必ずしも全員一律ではない、柔軟な教育制度が求められるでしょう。

9年間を一体と捉えて

さて教科担任制にしても、諮問理由を説明した文章では「義務教育9年間を見通した児童生徒の発達の段階に応じた学級担任制と教科担任制の在り方」となっています。小学校と同じ義務教育である中学校にとっても無関係ではないようです。
しかも(4)では、これに対応する形で「義務教育9年間を学級担任制を重視する段階と教科担任制を重視する段階に捉え直すことのできる教職員配置や教員免許制度の在り方」が挙がっています。

新しい学習指導要領では、教科横断の「横のつながり」だけでなく、幼・小・中・高の「縦のつながり」で資質・能力の三つの柱((1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等)を育成することを目指しています。とりわけ義務教育学校などの小中一貫教育が2016年度から制度化され、市区町村の人口減少に伴って小中一貫教育校が増えているなかで、9年間を一体として捉えて指導体制を再構築することは、喫緊の課題とも言えます。

このように、さまざまな事項がからみ合う教育課題が山積しています。諮問の発端となった「学校の働き方改革」のためにも、何より子どもたちが将来いっそう活躍できるようにするためにも、ぜひ幅広い議論を期待したいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※諮問のあった中央教育審議会(第123回)配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1415607.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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