来年度以降、通知表も変わる!

小学校の新しい学習指導要領が全面実施となるまで、あと1年弱。これに伴って、学校での子どもの学習や生活の指導状況を正式に記録する「指導要録」の様式も改善されます。指導要録は通知表や調査書の原簿ともなるもので、今回の改善は、通知表にも大きな影響を与えそうです。

高校でも観点別評価、大学入試でも活用?

新しい指導要領は、どの教科なども(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等……という共通の「資質・能力の三つの柱」を掲げて育成を目指すことにしています。
これに伴って学習評価も、これまでの4観点(関心・意欲・態度、知識・理解、技能、思考・判断・表現)から、資質・能力に対応した(1)知識・技能(2)思考・判断・表現(3)主体的に学習に取り組む態度——の3観点による観点別評価に変わります。

(3)が少し違っているのは、学びに向かう力・人間性等には、観点別評価や評定になじむ部分と、「人間性等」に代表されるように、なじまない部分があるためです。そこで、評価の対象としては外から見える「態度」にとどめ、それ以外の部分は「個人内評価」を通して見取ることにしました。
もちろん日常の指導で、学びに向かう力・人間性等を知識・技能や思考力・判断力・表現力等と一体でしっかり育成してもらうことは、子どもが社会で活躍する力の基礎として不可欠なことに変わりはありません。
特に、今回は高校(2022年度入学生から全面実施)でも観点別評価を記入することが求められます。文部科学省は22年度に高校の調査書を電子化することを目指しており、25年度大学入学者選抜(今年度の中学校1年生が受験)でも多様な資質・能力の評価が進むことでしょう。そうなると、高校受験や中学受験への影響も無視できません。

「粘り強さ」「自己調整力」含め学習の改善を

一方で今回の改善では、教員の負担軽減を考慮して、記載の簡素化も図られます。その一環として、指導要録の文章記述をそのまま通知表に記載したり、自治体や学校法人が決める指導要録の様式と、学校独自で決められる通知表の様式を一緒にしたりすることも勧めています。
改めて注意したいのは、指導要録の評価、とりわけ評定は、子どもを「値踏み」するのが趣旨ではない、ということです。学校では「指導と評価の一体化」を目指しており、子どもの評価結果を踏まえて、もっといい指導に改善するサイクルが求められています。子どもの側にとっても、自分の課題をきちんと見つめ、これからの学習の改善に生かすことが、ますます求められます。

特に、主体的に学習に取り組む態度では、(1)粘り強く学習に取り組む態度(粘り強さ)(2)自ら学習を調整しようという態度(自己調整力)……の両側面から評価することになっています。粘り強さや自己調整力は、一生学び続けるためにも必要です。

通知表の様式は、各学校で決められるものです。様式の簡素化が図られるにしても、それをもとに今後、一人ひとりの子どもをどう育てていくか、保護者とも一緒に考えていく契機にしてもらう意義は変わらないどころか、ますます重要性を帯びてくることでしょう。指導要録の改善をきっかけに、評価を介した学校と子ども・保護者とのコミュニケーションを、いっそう密にすることが求められます。

(筆者:渡辺敦司)

※文部科学省「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm

※中央教育審議会 教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1412933.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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