「カリマネ」って何…保護者にも無関係じゃない!?

「カリキュラム・マネジメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「カリマネ(CM)」とも略され、2020年度の小学校から順次、全面実施に入る新しい学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び(AL)」と車の両輪を成すキーワードだというのですが、ALに比べれば世間の認知度は低いままです。保護者や地域住民にとっても無縁ではないというのですが……。

先生方も情報収集段階だけど

国立教育政策研究所は1月16日、公開シンポジウム「資質・能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントの推進—授業づくりの視点から—」を文部科学省講堂で開催しました。当初は定員300人としていたところに全国から約400人が集まりましたから、なかなかの盛況ぶりです。
ただしシンポでは、ALに比べてカリマネの理解がまだ不十分であることが、端々で指摘されました。指導要領の改訂論議に携わった天笠茂・千葉大学特任教授(中央教育審議会教育課程部会長)は基調講演で、全国の研修会などを回って参加者の先生方に尋ねてみると、カリマネに着手している割合は多くて3割程度、せいぜい1~2割だという状況が「ずうっと続いている」と嘆きました。

シンポに想定以上の参加者が集まったのも、ALが既に授業の実施段階に入って久しい一方で、カリマネはいまだに情報収集の段階にとどまっている、との見方もできます。先生方でさえそんな状況なのですから、保護者が知らなくても当然かもしれません。

基本的な理念を共有し連携

しかしカリマネは、新指導要領の成否のカギを握るといっても過言ではありません。天笠特任教授によると、カリマネとは「全ての教職員の参加によって、教育課程の編成・実施・診断・評価・改善を通して、学校の特色を創り上げていく営み」であり、ヒト・モノ・カネだけでなく情報・時間という経営(マネジメント)資源をどう再分配するかが課題だといいます。

新指導要領は「社会に開かれた教育課程」を理念に掲げ、これまでの学習内容の「量」は維持しながら、教科横断的な資質・能力((1)知識・技能 (2)思考力・判断力・表現力等 (3)学びに向かう力・人間性等)によって学習の「質」を高めようとしています。ただし、小学校で英語の授業時間数が増えたり、プログラミング教育が導入されたりすることに見られる通り、実質的に量は増えます。カリマネの経営資源に「時間」が入っているのも、それだけ「質も量も」の両立を追求するのが難しいからです。

さらに新指導要領は、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際には、その学校で育成を目指す資質・能力を踏まえて教育目標を明確にするとともに、教育課程編成の基本的な方針を家庭や地域とも共有することも求めています。つまり、保護者や地域住民もステークホルダー(利害関係者)として、立派なカリマネの担い手なのです。

各学校では「社会に開かれた教育課程」を通して、社会で活躍できる力を子どもに育成することが求められます。今後、説明会やPTAなどの場でカリマネについて積極的に学校側の考えを尋ね、積極的に意見を出していく姿勢が、保護者にも期待されます。

(筆者:渡辺敦司)

※新学習指導要領
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

※国立教育政策研究所 教育研究公開シンポジウム「資質・能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントの推進—授業づくりの視点から—」
http://www.nier.go.jp/06_jigyou/symposium/sympo_h30/

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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