どんな仕事にも必要な「創造的問題解決」

人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ……。子どもたちが社会に出て働くころには、こうした技術がますます発展していることが予想されています。10~20年後には労働力人口の約半数がAIやロボットに置き換わるという推計もあるほどです。
しかし、こうした変化は決して将来の話ではありません。今でも就職では、創造的問題解決能力など新しいスキルが求められているというのです。

学生のレベルは不十分

PDFファイルで知られるアドビシステムズの日本法人はこのほど、「新卒採用で企業が重視するスキルについて」と題する調査の結果を発表しました。
2018年6月、東証一部上場企業と各種の就職人気企業ランキングに登場している企業を対象にネットを通して実施したもので、「就職人気企業」と「それ以外の企業」に分けて比較しています。

それによると、新卒採用が5年前と比べて変化したと思う割合や、今後5年間でさらに変化していくと思う割合は、いずれも90%を超えています。とりわけ就職人気企業では96%とほとんどが5年前に比べて変化したとしています。
そんな新卒採用で最も重要視するスキル(三つまで選択)として、いずれも80%以上が「課題解決方法の発想力/着想力」を挙げました。以下、「課題発見能力」(就職人気企業68%、それ以外の企業74%)、「情報分析能力」(各53%、57%)、「クリエイティビティ/創造性」(各47%、39%)などが挙がっています。とりわけ就職人気企業ほど「クリエイティビティ/創造性」や「デジタルリテラシー」「プレゼンテーションスキル」を重視する傾向があります。

しかし就職人気企業が、期待するレベルを新卒学生が満たしていると思う割合は、「課題解決の発想力/着想力」「クリエイティビティ/創造性」「プレゼンテーションスキル」でそれぞれ30%程度にとどまり、「デジタルリテラシー」でも39%にすぎません。

デジタルリテラシーは「運転免許」

結果をもとに、同社は東京都内で教育フォーラム「AI時代を生きる力~企業が求める創造的な学校教育とは」を開催しました。
パネルディスカッションで登壇したキリンの佐野環・事業創造部長は、自身も「前任のない仕事」にばかり就いてきたことを紹介しながら、ビジネス環境の変化に伴って、必要な人材が▽受け止める多様性▽グローバル▽構想力(課題形成力)▽デジタル……などに変化していることを強調。ソニー銀行のルゾンカ典子・執行役員も、大学で▽コミュニケーション▽プレゼンテーション▽バイリンガル▽デジタルリテラシー▽プログラミングスキル▽チームマネジメント……などとともに「クリエイティブな思考」「クリティカル(批判的)な思考」「論理的思考」を準備しておいてほしいと述べました。

もはやビジネスにとってデジタルリテラシーは「運転免許証みたいなもの」(司会の中原淳・立教大学教授)です。一方で「仕事とはさまざまな問題を日々解決することであり、日々、創造性が求められる」(佐野部長)といいます。
高校以下や大学などの教育で、新たな時代に必要なスキルの育成に対応しようとするのも、高大接続改革の狙いです。ぜひ、創造性などのスキルを着実に身に付けさせる授業を展開してほしいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※調査「新卒採用で企業が重視するスキルについて」
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201807/20180713-hiring-for-the-future-research.html

※フォーラム「AI時代を生きる力~企業が求める創造的な学校教育とは」
http://www.adobe-education.com/jp/aef2018/

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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