スマホの「悪影響」にご注意!

進学などに合わせて、携帯電話(ケータイ)やスマートフォン(スマホ)をお子さんに買い与えたご家庭も少なくないことでしょう。新学期から、はや2か月。お子さんの使い方はどうでしょうか。親子で決めた家庭ルールは、守られていますか?

進む所持の低年齢化

東京都が今年2月、小学4年生から高校生までの子どもにケータイ・スマホを持たせている保護者を対象にインターネット調査を行ったところ、スマホの利用率(ケータイと両方利用も含む)は小学生でも41.8%を占め、中学生は85.0%、高校生は94.0%にも上ります。スマホを持たせた時期で最も多いのは「中学1年生」の28.2%で、それに次ぐのが「小学5年生から6年生」の21.6%です。小学生までに持たせていたのは計32.6%で、前年に比べ7.7ポイント増えていますから、低年齢化が進んでいることがわかります。

スマホを持たせた理由を尋ねても、最も多いのは「子供にせがまれたため仕方なく持たせた」(33.1%)で、「子供の所在地がわかるようにするため」(30.8%)を少し上回るほどです。「持たせた方が、メディアリテラシーや情報処理能力がつくと思ったため」(14.9%)や「習い事や塾等で必要なため」(14.1%)など、積極的な理由もあります。今や子どもに最初からスマホを持たせることは、当たり前になりつつあります。

しかし、子どもの一日の利用時間を尋ねると、30分未満が29.3%、30分以上2時間未満が計32.7%、2時間以上が計25.9%となっています。あくまで保護者が把握している利用時間ですから、実際にはもっと長いかもしれません。

トラブルは増え、ルール順守は低下

ケータイ・スマホを持たせたことにより、どのような影響があったかを聞くと、「悪影響は特にない」が48.8%と半数近くを占めたものの、51.2%は何らかの悪影響があったとしています。具体的には、「睡眠不足になった」(19.9%)、「視力が落ちた」(18.7%)、「勉強に集中できなくなったり、記憶力が下がったりした」(15.3%)、「家族や友達と過ごす時間が減った」(12.7%)、「猫背になったり、巻き肩になるなど、姿勢が悪くなった」(12.3%)、「成績が下がった」(10.7%)などです。
何らかの悪影響があったという回答を学校段階別に見ると、小学生31.0%、中学生61.6%、高校生61.0%でした。利用の普及と併せて考えると、小学生でも多くに悪影響が出ていることがうかがえます。

何らかのトラブルに遭ったことがあるのは16.2%にとどまっていますが、前年より6.5ポイント増加しています。具体的には、「無料アプリやコミュニケーションアプリが原因で友達等とトラブルになった」(4.9%)、「メールが原因で友達等とトラブルになった」(4.6%)、「メールで誹謗(ひぼう)中傷、チェーンメールなどが届いた」(4.2%)、「身に覚えのない料金請求のメールが届いた」(3.1%)などです。
家庭内で何らかのルールを作っているのは71.7%で、前年より12.0ポイント増加していますが、そのうち「守られている」「だいたい守られている」と回答したのは73.8%で、前年より8.2ポイント減少しています。ルールを決めても、守られなければ何にもなりません。
小学生でもスマホが普及する昨今、うまく使いこなせるまでは、保護者が機会をとらえて使用状況をチェックしたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/tyousa-keikaku/chousa/index.html

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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