運動部活動の在り方、どう変わる?

いよいよ新年度。中学校や高校に入学したお子さんの多くは、どの部活動に入ろうかと楽しみにしていることでしょう。ただ、運動部活動をめぐっては今、練習のやりすぎが生徒だけでなく多忙な先生の「働き方」にも影響を与えていることが問題になっています。今後の部活について、どう考えればよいのでしょうか。

ガイドラインに基づき各学校でも活動方針

スポーツ庁は先頃、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」をまとめ、都道府県教育委員会などに通知しました。これに基づいて教育委員会や学校法人などは方針を策定し、各学校でも「学校の運動部活動に係る活動方針」を定めることになります。
ガイドラインでは、(1)学期中は週に2日(平日1日、土日1日)以上の休養日を設け、週末の大会などに参加した場合は休養日を他の日に振り替える(2)長期休業中の休養日も学期中に準じて扱い、オフシーズンも設ける(3)1日の活動時間は、長くとも平日は2時間程度、休みの日は3時間程度とする……としています。

運動部の顧問には、校長に年間や毎月の活動計画を提出するとともに、活動実績を報告することも求めます。校長には、活動方針や活動計画などをホームページで公表するよう求めるという徹底ぶりです。
また、文部科学省が5年前に出した「運動部活動での指導のガイドライン」に基づいて、生徒の心身の健康管理や事故防止、体罰・ハラスメントの根絶を徹底すべきことも再確認。顧問は、スポーツ医科学の見地から効果的な練習が行われるよう指導を行うとしています。

「自主的、自発的な参加」を忘れずに

ところで部活動は、学校教育の一環として行われるものですが、あくまで「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」(学習指導要領)ものです。主体は生徒側にあり、学校の先生も、そうした生徒の要望に基づいて顧問を引き受ける……というのが建前です。
ただ実際には、学校側が部活動のメニューを用意し、先生方に顧問を割り振っているのが実情です。
近年は学校の規模も小さくなり、1校当たりの先生の数も昔に比べれば減っているため、必ずしも得意ではない部を受け持ち、それが必ずしも適切ではない指導につながるという悪循環に陥ることも少なくありません。また、どうしても試合に勝ちたいという思いから練習が過熱化し、生徒も先生も忙しくなってしまうという面も否めません。

それでも部活動からは、さまざまなことが学べます。メンバーと協力し合うことや、競技力を高めることもそうですが、自己管理の力を付けたり、組織の運営を担ったりすることも重要な意義でしょう。どのような活動をすれば効果が上がり、そのためにはどういう計画を立てるかを、生徒と顧問がともに考えることも、「自主的、自発的」な部活動にとっては不可欠でしょう。
中学校で今年度から、高校では来年度から移行措置に入る新学習指導要領では、各教科の授業や特別活動などで「主体的・対話的で深い学び)を導入することが求められています。そうした授業などとの関連を図るとされている部活動も、そのような学びを通して付けた力を発揮する場とすることが期待されます。休養日の在り方も、ぜひ生徒と先生で学び合い、話し合って決めてもらいたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1402624_1.pdf

※運動部活動での指導のガイドライン
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop04/list/__icsFiles/afieldfile/2016/07/01/1372445_1.pdf

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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