「学習評価=成績」じゃない! 資質・能力伸ばす視点も

学校における学習の評価というと、どうしても子どもも保護者も、「5・4・3・2・1」といった通知表の「評定」を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。しかし、それは「学習評価」の一面でしかありません。学習指導要領も2020年度以降に順次切り替わるなか、評価の在り方をどう考えたらよいのでしょうか。

いまだに相対評価の意識根強く

中央教育審議会のワーキンググループ(WG)は現在、通知表や調査書の原簿となる「指導要録」の在り方を検討しています。12月に開催されたWGの第2回会合で、委員の髙木展郎・横浜国立大学名誉教授が、学習評価の現状と課題を報告していました。
髙木名誉教授は、「学習評価=成績」と理解して通知表の結果にこだわる現状を問題視しました。1948年に「相対評価」(集団のうち「5」「1」は7%、「3」は38%、「4」「2」は24%と割り当て)が取り入れられて以降、何度も評価の考え方が改められたにもかかわらず、70年、評価とは5段階などの評定で子どもに序列を付けるものだ……との意識は、いまだに根付いています。

現在は観点別学習状況(関心・意欲・態度、思考・判断・表現、技能、知識・理解)に基づく「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)になっています。たとえば3・2・1の評定を付ける小学3年生以上では、各観点をA~Cの3段階によって評価して「AAAA」なら3、「BBBB」なら2などとしています。しかし、全部の観点が同じ評価とは限りませんし、総括的な評定だけでは、どの観点に課題があるかもわかりません。もともと「質的評価を数値によって示すことには、無理・矛盾がある」(髙木名誉教授)のです。
しかし、ある中学校長の話として、いまだに生徒や保護者は序列にこだわり、「どうしたら3を4や5にできるんですか」と聞いてくる現状があると紹介しました。

入試で思考力や表現力が問われる時代こそ

しかし学習評価はそもそも、子どもの学習成果を的確に捉えたうえで、先生が指導の改善を図るとともに、子どもたち自身が学習を振り返って、次の学びへと努力するために行うものです。髙木名誉教授は、子どもを「値踏み」する「5・4・3・2・1の呪縛」から抜け出すよう訴えました。
ましてや新指導要領では、「資質・能力の三つの柱」(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力等<3>学びに向かう力・人間性等)に基づいて、子どもを全人格的に育てようとしています。また、新指導要領を先取りする高大接続改革でも、「学力の3要素」(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力<3>主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)のすべてをバランスよく評価して伸ばし、社会に有用な人材を輩出することを目指しており、大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」が記述式問題を導入してまで思考力・判断力・表現力の測定を中心にしているのも、そのためです。

総括的な評定や、総合的なテストの得点だけに目を奪われては、社会で活躍できる資質・能力は必ずしも育ちません。「子供たちにどういった力が身に付いたか」(2016年12月の中教審答申)を丁寧に見取る学習評価が求められますし、子どもや保護者も今後、意識を改める必要があるのです。

(筆者:渡辺敦司)

※児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第2回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/080/siryo/1399427.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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