ネット活用、子どもにも大人並みの能力が必要!

今どきの子どもたちにとって、インターネットに接続できる環境は、携帯電話(ケータイ)はもちろん、通信機能付きゲームなど、小さいころから無縁ではいられません。十分なインターネット・リテラシー(活用能力)や情報モラルを身に付けないまま使い始め、取り返しのつかない事態を招いてはいけません。先頃発足した「ネット社会の健全な発展に向けた連絡協議会」の発足式でも、そのことが課題になりました。

マスコミ並みのチェックが求められる時代に

同協議会は、ネット上で他人を傷つけるような書き込みなどが行われないよう、健全な利用を促進するため、事業者などの関係団体が集まって設立されたものです。まずは10~11月を「秋の一斉行動キャンペーン」として、「その書き込み…誰かを傷つけていませんか?」と書かれたポスターを掲示したり、各団体のイベントで討論会を実施したりするとしています。10月の発足式でも、基調講演とパネルディスカッションが行われました。

「他人を傷つける情報を発信する危険性は、むしろ増大しています」。基調講演で、「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」座長を務める坂元章・お茶の水女子大学教授は、そう警告しました。有害情報を発信すること自体は、ネット普及前、電話回線を使っていたころからの「古典的問題」なのですが、モバイル化や映像など技術の飛躍的な進展で、時間を置いて冷静に考える間もなく、思い立ったらすぐ発信してしまうことが可能になっています。

昔なら、情報発信できる人は限られていました。たとえば新聞なら、訓練された記者が原稿を書き、しかもデスクや校閲記者による厳しいチェックを経たうえで、信頼できる記事となって、世に出されます。それが今や、誰でも情報発信できる時代になりました。ネット上に載れば、マスコミの情報も個人発信の情報も、見かけは同じです。だからこそ現代人は、情報の発信とチェックに「記者以上の力が望まれます」と坂元教授は指摘しました。

もはや「子どもだから」で許される世界ではありません。坂元教授が例に挙げたのが、コメディアンのスマイリーキクチさんを殺人犯だと誹謗(ひぼう)中傷した書き込みによって、2008~09(平成20~21)年に19人が一斉検挙された事件です。この中には、未成年も入っていました。

学校を中心に、でも任せるのではなく

パネルディスカッションに登壇した高校PTA関係者は、「保護者もしっかり学ばなければなりません」と述べる一方、「学校・教育委員会側に訴えても、『(対策を)やっていますよ』としか返ってきません」と嘆きました。確かに、現行の学習指導要領でも「情報モラル教育」を行うことになっているのですが、学校によって取り組みの度合いは違いますし、本当に子どもたちの行動を変えるものになっていなければ、何にもなりません。

同協議会では、今後も一般の利用者に向けた啓発活動を展開していくことにしていますが、パネルディスカッションでは、子どもたちを守るには、やはり学校を中心として、保護者や地域と連携して啓発活動を行っていくのが有効だ……ということが強調されました。

もはや、人任せではいられません。学校も、保護者も、地域や企業の関係者も、それぞれができることを、お互いに連携しながら取り組んでいかなければ、子どもに大人並みのネットリテラシーを身に付けさせることは、できないのです。

※ネット社会の健全な発展に向けた連絡協議会
http://www.fmmc.or.jp/net-shakai/

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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