災害続くニッポン、今後の「安全教育」はどうなる…?

今秋は例年になく台風が相次いで日本列島を直撃し、各地で大きな被害をもたらしました。5年前の東日本大震災の記憶も薄れないなか、改めて全国どこでも、自然災害に備える必要を痛感させられます。中央教育審議会では現在、学習指導要領の改訂とともに、「第2次学校安全の推進に関する計画」(2017<平成29>年~)の策定に向けて、検討を行っています。学校の安全教育、とりわけ防災教育は、どうなるのでしょうか。

自分で意思決定・行動できるよう

学校安全をめぐっては、学校保健安全法という法律により、国が学校安全推進計画を策定しています。第1次となる現行計画は2012(平成24)年に閣議決定されており、今年度は5年目の見直し時期を迎えています。

一方、学校教育に関しては、指導要領の改訂作業が、中教審の教育課程部会で進められています。教育課程部会では、学校安全部会の意見も聞きながら、安全教育の在り方を検討しました。

教育課程部会の「審議のまとめ」では、防災を含む安全教育に関して、教科化したり、特別に時間を取ったりする方法は採らなかったものの、各学校で「現代的な諸課題」として、地域の実態に応じた安全教育を展開してもらうことにしました。必要な時間数は、「カリキュラム・マネジメント」によって各教科等の関連を図ることで、生み出してもらいます。

そこでは、他の教科などと同様、健康・安全・食に関わる資質・能力を三つの柱(知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等)に整理し、どんな状況の下でも自らの身を守り抜く「自助」はもとより、自分自身が社会の中で何ができるかを考える「共助」「公助」の視点も含め、必要な情報を自分で収集し、意思決定や行動選択ができる力を育てようとしています。

主体的な学習が行動につながる

こうした考え方に影響を与えているのが、東日本大震災の教訓です。とりわけ「釜石の奇跡」と呼ばれた、岩手県釜石市の学校での取り組みが注目されています。学校安全部会の第4回会合でも、元中学校教員の森本晋也・岩手大学教職大学院准教授が、震災当時の教え子だった釜石東中学校の卒業生に聞き取りをした調査結果を発表しました。

震災前に取り組んだ防災教育で、今も印象に残っているのは、避難訓練はもとより、自分たちで学習内容をDVDにまとめたり、防災ボランティアに取り組んだりした経験だったと言います。主体的な学習が、生徒にも強い印象を残し、それが大震災という未曽有の体験に接して、とっさの行動につながった……ということができるでしょう。各教科等の授業でも、学習内容を、可能な限り震災に結び付けたことも、あとで振り返って、重要だと思う項目の上位に上がっています。

取り組みは、被災地以外にも広がっています。同じ会合では、委員の五十嵐俊子・東京都日野市立平山小学校校長が、独自教科「生きぬく科」の取り組みを発表しています。

危険性の高い災害の種類は、地域によっても違います。しかし、どんな状況にあっても自分や周りの人の安全を守り、避難後の安心に向けて行動できるような資質・能力を、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)により、全国どこの学校でも身に付けさせてほしいものです。

※中教審 学校安全部会(第8期~)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/077/index.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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