アクティブ・ラーニング、やれば既に効果 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)

現在、改訂の検討が進められている次期学習指導要領では、授業に「アクティブ・ラーニング」(AL)の視点を取り入れることで「主体的・対話的で深い学び」を実現し、幅広い資質・能力を育て、社会で活躍できる力につなげることを目指しています。
今年4月に行われた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、既にALが学力向上に効果を上げていることがわかりました。一方で、授業をする教員側の意図が、必ずしも児童生徒に伝わっていない実態もあるなど、課題も浮き彫りになっています。

求められる「主体的・対話的で深い学び」の授業

ALは、中央教育審議会に指導要領の改訂を検討するよう求めた2014(平成26)年11月の文部科学相による諮問文の中で、「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる『アクティブ・ラーニング』)の充実が必要だとされたことから、学校現場の注目を一気に集めました。しかし、そこで想定されるような、単に一方通行で知識を教え込むだけでなく、話し合いや調べ学習などを行いながら、主体的に身に付けさせ、活用の力にまで高めようという取り組みは、既に小学校を中心に、多くの授業で行われていることです。現行の指導要領でも、既に「言語活動」として、全教科・領域等で行うこととされています。

今年度調査の発表資料では、あえてALという言葉を使わず、「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に向けた取組状況」としています。ALを導入すること自体が目的なのではなく、ALの視点で授業を改善することにより、主体的・対話的で深い学びを実現することが重要なのだ……という姿勢が表れているといえます。学ぶ側にとっても、ALの授業を通じて、どんな力が育ったのかが重要です。

児童生徒に伝わっていないことも

そうした観点から、今年度は質問紙調査に新たな項目を加え、テスト結果とクロスさせています。
その結果、「自分の考えを発表する機会が与えられていた」「学級の友達との間で話し合う活動をよく行っていた」など、主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導が行われたと回答した児童生徒ほど、平均正答率が高い傾向が見られたといいます。現行指導要領でも、授業にALを取り入れることで学力向上に一定の効果を上げていることがうかがえます。

ただ、クロス集計を細かく見ると、気になる点があります。学校側が「児童生徒は、学級やグループでの話合いなどの活動で、自分の考えを深めたり、広げたりすることができている」「授業において、自らの考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して、発言や発表を行うことができている」と思っているのに、そう受け止めていない児童生徒が3割ほどいるのです。

先生がALを取り入れたつもりでも、肝心の児童生徒の頭の中がアクティブになって、資質・能力が身に付かなければ、何にもなりません。今後の全国学力テストでも、本当に授業改善が資質・能力の育成につながっているのか、検証することが求められます。

※平成28年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料
http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/index.html

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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