夏休みに8割がお出かけ 国立青少年施設の利用者

お子さんにとって楽しかった夏休みも、全国的に終わりです。普段できない体験をするなど、有意義に過ごせたでしょうか? 学校外での豊富な体験活動は、学校生活や勉強にもよい影響を与えることが、さまざまな調査や研究で明らかになっています。そんななか、全国で「国立青少年交流の家」や「国立青少年自然の家」などを運営している独立行政法人国立青少年教育振興機構は、小学3年生から中学3年生までの施設利用者を対象としたアンケート調査の結果をまとめています(2014<平成26>年4月~15<同27>年7月)。お子さんと比べて、いかがでしょうか。

アウトドアは少数派に?

「夏休みに家族でお出かけした」と回答したのは、80.1%に上っています。子どもが積極的に青少年教育施設を利用するくらいですから、家族ぐるみで外出に積極的なのは当然かもしれません。お出かけで一番遠いところを尋ねると、「全国」が51.0%、「都道府県内」が33.7%、「市町村内」が11.7%、「外国」が2.7%となっており、外国を別としても、普段なかなかできない遠出を夏休み中にしようという家庭が多いようです。

「家族で花見やハイキングに出かけた」のは44.0%ですが、小3~4が55.5%と半数を超えているのに対して、小5~6では47.8%、中学生では33.2%と減っていきます。成長に伴って、家族より友達、花見やハイキングより部活動……と、子どもの生活も変わっていっているようです。

これに対して、「家族で河原などでバーベキューや芋煮会などをした」のは22.3%にとどまり、小学生でも25%程度にすぎません。家族ぐるみのアウトドアは、今や少数派になっているのかもしれません。

年中行事や風習には濃淡

年中行事について尋ねると、「節分の日に豆まきをしたり恵方巻きを食べたりした」のは87.0%を占めました。節分の行事は幼稚園や保育所などでもよく行われていますし、もともと関西中心だった恵方巻きも、コンビニエンスストアのキャンペーンなどですっかり全国的な行事になりましたから、子どもたちにとっても、すっかり定着しているようです。

一方、「七夕で願い事を短冊に書いた」のは、小3~4で58.8%を占めるものの、小5~6では43.5%、中学生では24.1%に減ります(全体では36.9%)。「お月見の行事をした」(同27.8%)、「かるたやたこあげをして遊んだ」(同28.4%)も、同様の傾向でした。
また、「こどもの日に、家で『かしわもち』を食べた」のは29.2%で、学校・学年段階による差は、そう大きくありませんでした。体験活動に積極的だからといって、風習に関心が高まるとは限らないようです。

これに対して、「地域のお祭りなどに参加した」は、7月の時点でも65.7%、10月の時点では72.9%に上ります。小学校でも、生活科などで季節感を重視して、お祭りなどに関心を向けさせることが多く行われていますから、子どもたちにとっても参加することが自然になっているようです。
また、「箸であずきをつかむことができる」は83.9%、「時間が気になって時計をよく見る」は74.3%を占めています。

2学期には学校の授業に宿題、学習塾・通信教育と忙しくなることでしょうが、子どもの時期にしかできない体験を、これからも大事にしたいものです。

※子供の四季を通したふだんの生活と施設利用に関する調査[結果の概要]
http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/109/File/kekkanogaiyou.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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