まだまだ大きく変わる? 国公立大学の入試
2016(平成28)年度に推薦入試やAO入試を行う国公立大学が過去最多になったことが、文部科学省のまとめでわかりました。ただ、一般・推薦・AOという入試区分にしても、あくまで現在の枠組みでしかありません。高校教育と大学教育、それに大学入学者選抜を一体で改革する「高大接続改革(外部のPDFにリンク)」が進んでいけば、国公立大学の入学者選抜もさらに大きく変わることは必至です。
新たに推薦・AO入試を行う大学に、東京大学と京都大学が入っていることが、新聞などでも注目されました。これについては当コーナーでも、たびたび記事で取り上げています。両大学に象徴されるように、単に国から言われて選抜方法を多様化したというよりも、学生を多様化させなければ高度な教育・研究を行えないという危機感から選抜方法を多様化させているというのが、近年の傾向だといえます。
大学関係者の間では最近、「3つのP」による大学改革ということが盛んに言われています。アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針、AP)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針、CP)、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針、DP)です。このうちAPは、受験生にとっても、各大学の入試要項などで目にする機会が増えたことと思います。しかし、APは単独で存在するものではありません。まずはその大学が、社会で信頼される卒業生像をDPで明確化し、そうした卒業生を4年間で育てるためにはどうしたらよいかをCPで考え、そのような教育に合った学生に入学してもらうためにAPを示したうえで、それに沿った選抜方法を課す……という流れです。
先の記事でも紹介したように、国立大学は2016(平成28)年度以降、「ミッション(使命・役割)の再定義」に基づいて、(1) 卓越した教育研究 (2) 専門分野の優れた教育研究 (3) 地域貢献の3タイプに「機能別分化」していく流れにあります。各大学のミッションが変われば、DP → CP → APも、そして選抜方法も当然、変わっていくことでしょう。公立大学も、そうした国立大学の改革に大きく影響されるであろうことは、言うまでもありません。
高大接続改革では、一般・推薦・AOという入試区分すら廃止することが提言されています。3つのPによる大学教育改革に対応した入学者選抜を行ってもらうためには、旧来の区分にこだわっていては、多面的・総合的な評価が進まないという判断が、そこにはあります。ある意味、すべての入学者選抜で、本来のAO入試で求められる「丁寧な選抜」を行ってもらおうというわけです。
国立大学協会が、推薦・AO入試を入学定員の3割に拡大する方針を示したことも、既に紹介しました。当時の下村博文・文部科学相(外部のPDFにリンク)はそれにとどまらず、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入される2021(平成33)年度入試までに、定員の5割をAPに基づく新型入試に移行させたい考えを示しています。テストの成績によって大学を選ぼう……という発想自体、通用しなくなる時代が、もうすぐやってくるかもしれないのです。
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