子どもに「スマホ疲れ」? 女子高生も使用時間が減少

先の記事では、子どものスマートフォン(スマホ)などの使い方に関して、自治体が統一ルールを策定する動きが全国で広がりつつあることを紹介しました。こうした動きは、スマホが手放せなくなっている子どもたちにとっては迷惑な話なのか……といえば、どうもそうとばかりはいえないようです。昨今、指摘されているのは子どもの「スマホ疲れ」です。

有害情報を遮断するフィルタリングサービスを提供している情報セキュリティーメーカーの「デジタルアーツ」は、2011(平成23)年12月以来、何らかの携帯電話(ケータイ)・スマホを持つ小学4年生から高校生の子どもを対象に継続的な調査を行っており、先頃8回目の調査結果を発表しました。今年6月現在で、1日当たりの平均利用時間は2.5時間で、前回調査の今年1月時点よりも0.5時間減少しました。とりわけ高校生女子は、前回調査で平均使用時間が7.0時間に上り、「15時間以上」と回答した者も9.7%とほぼ10人に1人だったことが注目されたのですが、今回は平均使用時間が5.5時間に減少し、15時間以上使用の割合も6.8%と、15人に1人程度に縮小しています。

一方、ケータイ・スマホを使用してからの経験をたずねた設問では、高校生女子の半数近くが「寝落ちするまでいじっていた」とする一方、「寝不足で注意力散漫になった」「頭痛等の回数が増えた」「食欲がなくなった」「イライラするようになった」などと心身の不調を訴える声が、前回の約2倍に増加したといいます。手放せないスマホにヘトヘトになり、結果として使用時間が減ったとも考えられます。
フィルタリングに関しても、中高生では女子の使用率が増加しています。同社では、学校や地域での普及啓発活動が功を奏した結果と見ていますが、中学生男子は使用率が減少していますから、やはり生徒自身が実感を伴ってフィルタリングの必要性を認識しているのかもしれません。

これに対して、小学生ではスマホの普及に伴って、フィルタリングの使用率が40.1%と、半数を一気に割りました。おそらく今後、小学生にも無料通話・メールアプリのLINE(ライン)などの使用が当たり前になっていくと見られますが、高校生にスマホ疲れ・スマホ離れの傾向が表れる一方で、スマホ疲れが低年齢化していくとしたら心配です。

自治体などのスマホ統一ルールに関して、歓迎する子どももいるという識者の指摘も最近よく聞かれます。周りの子に合わせるためには自分もスマホが手放せないのだけれど、受信後すぐに返事をしなければならない「即レス」や、読んだのに返信しない「既読スルー」と思われないため返信に追われる……といった連鎖に、子どもたち自身も疲れているのです。

これからの時代、ICT機器をうまく使いこなすことは不可欠です。機器に振り回されない力を身に付けるためにも、親子で使い方を話し合うことがますます重要になっているといえるでしょう。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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