学校での「新聞」活用、ますます注目
先の記事で、調べ学習の場としての学校図書館の重要性について紹介しました。文部科学省の調査では、学校図書館での「新聞の配備状況」も調べています。お子さんの通う学校の参観で、新聞記事を使った授業をご覧になったかたもいらっしゃるかもしれません。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、しばしば新聞を使った問題(外部のPDFにリンク)が出されているのも、先の記事で紹介したとおり「言語活動」の充実に有効だと認識されているからです。このことは、今の学習指導要領にも明記されています。そして、現在検討されている次の指導要領でも、新聞の重要性がますます高まりそうなのです。
学校などで新聞を活用することを、NIE(エヌ・アイ・イー、Newspaper in Education=教育に新聞を)と呼んでいます。米国で普及している手法を日本でも導入しようと30年ほど前から日本新聞協会が提唱し、都道府県ごとに毎年、指定校を設けて新聞を提供するなどして普及に努めています。新聞記事は、さまざまな話題を取り上げていますから、NIEは国語だけでなく、算数・数学や理科、社会はもとより保健体育、家庭、道徳など、すべての教育活動に使えます。親子で記事の内容を話し合う「ファミリーフォーカス」という活動もあります。
学校での新聞活用は、全国学力テストでも出題されていることでもわかるとおり、小・中学校では盛んになりつつあります。高校では一部の学校にとどまっているという指摘もありますが、次の指導要領では、飛躍的に活用が期待されることになりそうです。その一つが、次の指導要領の目玉である「アクティブ・ラーニング」(課題発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習、AL)です。中央教育審議会の部会では、県域や国公私立の枠を超えた3高校が、NIEによるALに取り組んだ実践例が紹介されていました。そして、もう一つが以前紹介した、選挙権年齢の18歳引き下げに対応した主権者教育です。国政や地域の課題を知るだけでなく、各政党の考えを知るためにも、新聞記事は有効です。文科省案でも「新聞を題材にした学習」が例示されています。
このように活用がますます期待されるNIEですが、2014(平成26)年度の学校図書館への整備率はというと、高校は90.6%(12<同24>年度比0.5ポイント増)に上っていますが、小学校は36.7%(同12.2ポイント増)、中学校は31.7%(同12.7ポイント増)と、2年間で整備が進んだとはいえ、まだ3校に1校程度にとどまっています。
近頃は、「ニュースもウェブサイトで見られるからいいや」と思われがちですが、ネットには根拠が薄かったり、情報源が不確かだったりする情報もあふれており、最近の若者は「ネットに載っていた」だけで安易に信じてしまう傾向があるとも指摘されています。
テレビやネットを含めた「メディア・リテラシー(活用能力)」を養うためにも、新聞記事の比較読みが有効です。新聞を購読する家庭が減少しているなか、せめて学校の図書館には小学校から新聞を常備し、授業で大いに活用してほしいものです。
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