国内のハードルも上がる? 「スーパーグローバル大学」-渡辺敦司-
文部科学省は、国際化を支援するため37大学を「スーパーグローバル大学」(SGU)に採択しました。折しも発表された英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)の世界大学ランキングでは、日本の大学の低迷ぶりが浮き彫りになったところです。今後これらのトップクラス大学では「世界基準」の教育・研究水準を目指して、受験生に対するハードルも上げていくものと見られます。
SGUには「トップ型」と「グローバル化牽引(けんいん)型」の2種類があり、このうちトップ型は「世界大学ランキングトップ100を目指す力のある大学」を支援するとしています。トップ型に選ばれたのは国立で北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州の「旧7帝大」すべてと筑波・東京医科歯科・東京工業・広島の4大学、それに私立からは早稲田・慶応義塾の、計13大学です。
これらが今後トップ100入りを目指すわけですが、現在はどうかというと、世界的にも有名なTHEのランキングによると100以内に入っているのは前年と同じく東京と京都の2大学だけで、しかも京大は前年の52位から59位に順位を落としました。東大は23位で変わらず引き続きアジアでトップを維持したものの、教育や研究に対する評価は高い一方、留学生数などの国際化指標が低いという課題は解消されないままで、順位低迷の一因となっています。このほか、200位以内に入っているのは東京工大(141位)、阪大(157位)、東北大(165位)の3大学。以下、名古屋大が226~250位レベル、東京医科歯科大が276~300位レベル、筑波大が301~350位レベル、北大・九大・早大が351~400位レベルとなっており、道のりはなかなか遠そうです。
トップ100を目指さないまでも、グローバル化牽引型の大学でもグローバルリーダーの育成などに力を入れることになります。語学力はもとよりコミュニケーション能力、論理的思考力、課題発見・解決能力の育成にも、今まで以上に力を入れることでしょう。
入学後の教育レベルが高くなれば、当然それに伴って受験生に求める能力も上がります。中央教育審議会では現在、大学入試と高校・大学教育の「三位一体改革」を検討していますが、大学入試センター試験に代わる「達成度テスト(発展レベル)」(仮称)などはもとより、選抜性の高い(入試競争の厳しい)個別大学の入試についても小論文やプレゼンテーション、入学後の「学修計画書」など、多様な資料を用いて選抜を行うよう提言する見通しです。
これからトップクラス大学を志望しようとする時、各大学の求める能力に応じて、入学後の教育に耐えられ、さらに力を伸ばせる可能性を備えた実力をつけなければいけなくなりそうです。ある意味でペーパーテストの点数を取るよりハードルが上がると言っても過言ではないでしょう。