「達成度テスト」、ようやく制度設計へ……? ‐渡辺敦司‐

政府の教育再生実行会議が昨年10月に提言(外部のPDFにリンク)した「達成度テスト」(仮称)について、具体的な内容を検討していた中央教育審議会の報告書がまとまりました。大学入試センター試験に代わる「発展レベル」、高校版全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)とでも言うべき「基礎レベル」(いずれも仮称)の二つのテストから成るもので、それぞれ高大接続特別部会高等学校教育部会という別々の部会で検討してきたものです。今後、広く意見を募るパブリックコメント(意見公募手続)や関係団体からのヒアリング(公聴会)を経て両部会の報告を擦り合わせ、具体的な制度設計を固めたうえで夏をめどに答申したい考えです。

答申後のスケジュールについて明言はありませんが、答申が出れば文部科学省が、例年8月末に締め切られる次年度概算要求に必要経費を計上し、実現へ向けて動き出すことになりそうです。大学入試の大幅な改革は高校のカリキュラムにも大きな影響を与えるため、少なくとも最初の受験生が高校に入学する前の年度のうちに概要だけでも示しておく必要があります。つまり最低でも4年掛かるということです。
ここからは推測になりますが、もし2015(平成27)年度中に概要発表にこぎつけたとしても、最速で19(同31)年度入試から。今年度の中学2年生が大学を受験する年ということになります。ただ、下村博文文部科学相は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020(平成32)年を「ターゲットイヤー」として、あらゆる教育改革を進めようとしています。これに合わせて2020(平成32)年度にスタートするなら現在の中学1年生の大学受験からということになります。

ただ、今回の改革は単に出題科目が変わるというだけでなく、試験そのもの、もっと言えば大学入試の在り方まで変えようとするものです。新テストの制度設計や準備が順調に進んだとしても、うまく実施できるか試行することも必要になります。しかも新たな大学入試は新テストだけで完結するものではありません。提言どおり発展レベルの成績が1点刻みではなく段階別で出されることになれば、各大学は点数だけで合否を決めることができず、それ以外の資料や面接などを通じて「多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜」を工夫しなければならなくなります。それには新しい入試の研究や検討に相当の時間が掛かるということも、中教審の部会の中では委員から指摘されていました。現段階ではまったく不透明と言わざるを得ませんが、予算面も含めていつ、どのように行うのかは結局、政権の意向に強く左右されるものと見られます。

ただ、高大接続部会の報告にあるように、大学入試改革は大学教育と高校教育を一体で変えることを目指すものだとするなら、センター試験体制の下での受験生にも無関係と言うわけにはいきません。既に紹介したとおり、「大学改革は待ったなし」というのが中教審の安西祐一郎会長の口癖です。報告が指摘しているとおり、高校から大学までを通じて「主体的に学び考える力」を育てることが不可欠な時代になってきているのです。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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