中学受験を目指したいが……【前編】[教えて!親野先生]

大事なのは、ブームに流されないで本当に子どものために良い道を選ぶことです。
受験するかどうか、また受験するならどこを受験するかについても同じです。

そのためには、次のことが大切です。

1.子ども自身の気持ちを大切にすること
2.現在の子どもの学力や特質や友達関係について、十分配慮すること
3.我が子の将来を真剣に考えること
4.受験することのプラスとマイナスを総合的に判断すること
5.宣伝や説明やイメージだけで判断しないで、学校の本当の実状を調べて判断すること


ところで、今現在、中学受験がきっかけで親子で苦しんでいる人たちが大勢います。
私のところにもそのような話がたくさん聞こえてきています。

3年生のころ親子で話し合って、子どもも中学受験を目指すことを納得して勉強を始めました。
ところが、なかなか成績が伸びません。
塾を替えたり家庭教師を頼んだり、夏休みには勉強合宿に行かせたりしているのですが、効果が出ません。
「受験やめるの?」と聞けば、「やめない」と答えます。
でも、だからといって自分から努力するわけではないのです。
お風呂に入るまでに塾の宿題を自分でやる約束になっているのに、このごろさぼってばかりいます。
それで、先日父親に厳しく叱られて家の外に閉め出されてしまいました。
外で泣いているのを見てかわいそうに思いましたが、かといって厳しくする以外に良い方法も思いつきません。
どう言えば、進んで勉強するようになるのでしょうか?

子どものことを考えて中高一貫校に狙いを絞り、1年前から受験勉強を始めました。
学校、塾、習い事、学校の宿題、塾の宿題と毎日ハードなスケジュールが続いて、親子共々疲れてきています。
でも、受験まであと1年しかないのに、合格ラインまでほど遠い実力で、テストの結果を見る度にイライラします。
この前は、私が教えながら塾のテスト直しをしていて、あまりにもわかっていないので叱りつけて泣かせてしまいました。
こんなことをしては逆効果だと思いつつ、それでも、何とか合格させてやりたいという気持ちでいっぱいです。
偏差値をあと10くらい上げるにはどうしたらよいでしょうか?

長男が通っている私立の中学校に、次男も絶対合格させたいと思っているのですが、本人はまったくやる気なしです。
「ぼくは友達みんなが行く地元の中学校に行く」と言っています。
子どもを将来弁護士などの法律関係職に進ませたいと考えているので、なんとかその学校に行かせたいのです。
この前の日曜日に何とか説得しようと話をしたのですが、次男は良い返事をしませんでした。
「親がこんなに考えているのに……」といういらだちから、つい怒って手を上げてしまいました。
本人のやる気を引き出すには、どうしたらよいのでしょう?

今、このようなことがあちこちで起きているようです。
小学3、4、5、6年生と言えば、自分のやりたいことに没頭できる黄金の少年期です。

毎日、友達と元気に遊ぶ。
それで、人間関係の基本を身に付ける。
自然の中で、時のたつのも忘れて遊ぶ。
それで、心が開放され、豊かな感性も身に付ける。
自分のやりたいことを、気の済むまで思う存分やる。
それで、生きる喜びを味わい、自分の個性を磨き、生きる力を身に付ける。

ずっと昔から最近まで、子どもたちは、このように過ごしていたのです。
発達段階的に見ても、それがふさわしいのです。
もちろん、目を輝かせて自ら勉強に取り組んでいる子どももたくさんいます。
そういう子を否定しているわけでは決してありません。

親も気付いていない、見栄だけで無理やり勉強させられ、点数が取れない、偏差値が上がらないなどを悩んでばかりの少年時代が良いはずがありません。

そのゆがみは、必ずどこかに出ます。
今、叱られたり、怒鳴られたり、「なんでこんなのができないの!」と言われたり、「ダメだな」と言われたり、叩かれたりしていることが、必ず何らかの形で出てくるのです。

友達との遊びも少なく、自然に接することもなく、やりたいこともやれずにがまんして、ひたすら参考書を暗記したり出された問題を解いたりする、そういう毎日の反動が必ず何らかの形で出てくるのです。

すぐ出ることもありますし、あとで出ることもあります。
でも、いつか必ずそれは出てくるのです。

叱られることで、子どもは自分に対する自信をどんどんなくしていきます。
自分に自信がなくなると、他に良いところがあってもまったく発揮できなくなっていきます。
それまで快活だった子が、受験勉強を始めてからだんだんそれをなくしていくということもよくあるのです。
そして、「自分はダメな子なんじゃないか?」とか「自分はできない子なんじゃないか?」などと思うようになっていきます。
それは、だんだん自分という存在に対する疑問にもつながっていくのです。

また、叱られることが多いと、叱る相手に対しても不信感を持つようになります。
これはどうしてもそうなります。
頭では、「お父さんやお母さんは自分のために言ってくれているのだ」とわかっています。
また、けなげにも、子どもはそのように自分に言い聞かせようとするものなのです。

でも、気持ちの中では、どうしてもそれと相反する気持ちが芽生えてきてしまうのです。

「自分はダメな子だと思われているのではないか?」「ダメな自分はあまり大切に思われていないのではないか?」などという気持ちが出てきてしまうのです。
また、「自分はわかってもらえていない」とか「ありのままの自分を受け入れてもらえていない」などという気持ちも出てきます。

このように、「自己存在に対する疑問」と「親に対する不信感」という二つの大きな問題を抱え込むことになるのです。
この二つは、子どもの人間形成のうえでとてもとても大きな問題です。
それの与える影響は甚大と言わざるを得ません。




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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。
Twitter、Instagram、オンラインサロン「やすらぎの子育て・教育オンラインサロン」、YouTube「YouTube親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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