親野先生に聞いた!学年の節目にしておきたい!コロナ禍で大変だった一年こそ大切な「振り返り」

進級、進学の季節ですね。昨年度は予想を超えてコロナ禍が続き、見通しの立たない不安な一年だったと思います。まずは子どもたちも、おうちのかたも、本当におつかれさまでした。本来は新しい年への期待が膨らむこの時期も、学習の遅れや、体験できなかった行事のことなど、気がかりが残る節目になっているかもしれません。でも、そんなときだからこそ、前の学年をしっかり振り返ることが次の学年への前向きな気持ちにつながるのだそう。教育評論家の親野智可等先生から、学年の節目の大切さと、押さえておきたい振り返りのポイントをうかがいました。

この記事のポイント

はじめに「よかったこと」「体験できたこと」を確認しよう

子どもにとって学年末は、年末年始とともに特に大きな一年の節目です。こうした節目、節目の振り返りは、気持ちを整理し、現状を肯定し、新たな目標を見つけて前向きに次に進む力になります。振り返ると言ってもコロナ禍で思うようにいかないことばかりだったのでは……と後ろ向きになるのはよくありません。たとえコロナ禍であっても、子どもの生活には普遍的な、さまざまな成果や成長があるのです。

たとえば、子どもは学年末に学校からいろいろなものを持ち帰ります。テストや問題集、健康カード、読書カード、各教科の制作物、絵や工作、作文、日記……。こうしたものを丁寧に見て、子どもの成長や、ほめられるところを探してみてください。そして、なるべく具体的に言葉にして伝えてください。

勉強ばかりに注目する必要はありません。「身長が5cmも伸びたんだね」と言われるのも子どもはとてもうれしいのです。「この絵、よく描けたね。色がいいよね」「日記の会話がイキイキしていて目に浮かぶよ」など細かいところを伝えたり、「こんなにたくさん問題を解いたんだね」「たくさん本を読んだね。すごいね」と全体の量をほめたり。誰かと比べるのではなく、その子の成長、その子の良さや努力をほめることが大切です。

特に目に見える形にしてあげると、子ども自身が一層喜びを実感できます。身長が伸びたら、定規で長さを確認して「こんなに伸びたんだ」と示したり、一年分の教材やノートをまとめて積み上げて「こんなに勉強したんだ!」と確認してみたり。作品やミニ賞状などは、飾るのがおすすめ。おじいちゃん、おばあちゃんに送ってほめてもらうのもうれしいものです。「どれを飾ろうか」と子どもに聞いてもいいですね。

「不足や不満」を振り返ることにも意味がある

成長や成果を確認しながら、家族や友達との楽しかった思い出や、面白かったエピソードなどもどんどん話題にしましょう。こうした「よかった記憶」をめいっぱい話し、共有することで気持ちが明るくポジティブになっていきます。一方で、特に今年は、できなかったこと、嫌だったことなどがいろいろと思い出されてくることもあるでしょう。コロナ禍の影響に限らず、勉強や友達関係の不満や不安などを子どもから口にしたら、共感たっぷりに、気持ちを聞いてあげてください。

できなかったことや嫌だったことを話題にするのは気持ちが沈むので避けたいし、子どもにとっても辛いのではと思うかもしれません。でも、それまでの経験を整理し、次につなげるためには、漠然と不満を抱え続けるのではなく、何が不満で、本当はどうしたかったのかを自覚しておくことも大切です。そのために先にポジティブな記憶を十分に共有しておいてほしいのです。

おうちのかたから「嫌なこともあったんじゃない?」とそっとたずねてみたり、おうちのかたの気持ちとして「こんなことできなくて残念だったな」と伝えたり、「仕事ではこんなことがあったよ」と自身の思うようにいかなかった経験を話したりして、子どもが素直な気持ちを話しやすくしてあげてもよいと思います。ただし子どもが話し出したら「みんなそうなんだから、しかたないよね」と気持ちを否定したり抑え込んだりする言い方は控えて。あくまでも「わかるよ」「いやだったよね」と共感に徹しましょう。心の中に不満がある場合は、そのまま溜め込んでおくのではなく、話すことで外に出すことが大事です。親御さんに共感してもらいながらたっぷり話すことができれば、気持ちがすっきりします。

新しい年への期待や想像が膨らむ会話を

振り返りの全体としてはポジティブな記憶が大きくなるように。そうしてこれまでの一年を振り返ったら、新しい学年でできることを考えて。「今年、楽しみにしていることはなあに?」「今年は運動会ができるといいね」「歴史ではどんな勉強するのかな」と、好きな行事や教科のことを話してみてもいいでしょう。「旅行に行けるようになったら、どこに行きたい?」「今度の休みに、あれに挑戦してみようか」など、楽しみにできることをいろいろ見つけてみてください。

実は、学年の変わり目は、子どもにとって少し糸の切れたような気持ちになる時期でもあります。子どもはふだんは「自分は〇〇小学校の(○年○組の)一員だ」といった所属意識をもっていますが、春休みは一時的にこうした無意識の重しがなくなります。すると、なんとなく落ち着かなくなるのです。そんなときに、家族と一年を振り返り、ていねいに受け止めてもらえる時間は、改めて「自分は家族に大事にされている」「自分を大切にしなくちゃ」と心を安定させる支えになります。うれしかったことも残念だったことも共有し、前向きに新しい学年をスタートさせる環境をつくってあげましょう。

そして新学期がスタートしたら、家庭では変わらずリラックスできるように見守って。教室も先生も友達も変わり、多かれ少なかれどの子も緊張し、疲れて帰ってきます。「新しいクラスどうだった?」「楽しく過ごせそう?」と聞きたくなる気持ちもわかりますが、詰問のようにならないようにしましょう。子どもが何らかの不安を口にした場合、いきなり「大丈夫だよ」と言ってしまうと、子どもはそれ以上話せなくなって溜め込むことになります。まずは、その不安に共感してあげて、子どもにたくさん話させてあげましょう。そのうえで、励ましたほうがいいと判断したら、最後に「でも、大丈夫だよ」と言ってあげてください。また、子どもとのスキンシップを増やしたり、好きな食事を用意したりなどして、いつでも味方だよという気持ちを伝えていきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

持ち帰った教材や作品、記録などは、一年をポジティブに振り返るきっかけに。不満もためこまず言葉にできるようにサポートを。振り返りを家族で共有することで愛情が伝わり、自分を大切にする気持ちも育ちます。新しい年を楽しみにできる会話と、リラックスできる環境づくりで新年度のスタートを応援しましょう。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。
Twitter、Instagram、オンラインサロン「やすらぎの子育て・教育オンラインサロン」、YouTube「YouTube親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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