突然の休校。子どもが家でダラダラ。親のストレスが溜まります。[教えて!親野先生]

新型コロナウイルスの影響で突然の一斉休校!
子どもが家でダラダラしているのを見ると、親はストレスが溜まります。

「朝は自分で起きない。食後の歯磨きも何度も注意しないとやらない。ダラダラしてやるべきことをやらない。遊んだものを片づけない。勉強しない。お手伝いをしない」などなど、目につくことばかりだと思います。

親には、「こんなにだらしがなくてどうする?大人になってからでは直らない。子どものうちに直さなければ」という思い込みがあるので、見逃せないのです。それで、つい子どもを叱ってしまう人が多いと思います。例えば、「また○○してない。なんで○○しないの。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」といった感じでしょうか。

でも、こういう否定的な言葉をたくさん浴びていると、いろいろな弊害が出てきます。子どもは「どうせ自分はダメな子だ」と感じて自己肯定感が持てなくなります。同時に、「こんなダメな自分は親に大切にされていない。見放されたかも」と感じて、愛情不足感を持つようになります。そうならないために大事なのは叱らなくて済むように工夫をすることです。

宿題に取りかかれない子には『取りあえず準備方式』と『取りあえず一問方式』

なかなか宿題に取りかかれない子は多いと思います。大人の仕事でもそうですが、取りかかってしまえばエンジンがかかります。ですから、とにかく取りかかるときの心理的ハードルを下げる工夫が大事です。そこで、お薦めなのが『取りあえず準備方式』と『取りあえず一問方式』です。

例えば朝食後に宿題と決めてあるなら、朝食を食べる前に今日やる宿題をテ-ブルに出しておきます。できたら、その日やるページを開いておいたり、下敷きを敷いておいたりすればさらによいでしょう。それだけで、食後の取りかかりはスムーズになります。これを『取りあえず準備方式』といいます。

さらによいのは、朝食を食べる前に算数プリントだったら1問だけやっておくことです。あるいは、さらに譲って名前だけ書いておくのもありにします。漢字書き取りだったら1字だけ書いておきます。あるいは、さらに譲って一画だけ書いておきます。

1問やるときに全体が目に入ります。それで「これだけやればいいのだ」という見通しがつきます。すると。食べ終わって本格的に宿題に取りかかるときの心理的ハードルはかなり下さがります。これを『取りあえず一問方式』といいます。

やるべきことがてきぱきできない子には『お支度ボード』

やるべきことがてきぱきできない子には『お支度ボード』が効果的です。ある家ではA3のホワイトボードを3つ使って『お支度ボード』を作っています。朝用、夕方用、夜用の3つです。

例えば朝用でしたら、ホワイトボードに「顔を洗う」「食べたら食器を流しに」「歯磨き」「着替え」「うんち」の5つのタスクを書いた磁石プレートが貼ってあります。1つのタスクをやったら裏返して貼ります。すると、裏に書いてある、お子さまの好きなキャラクターのイラストを見ることができます。このキャラクターを見られるというのがモチベーションとなり、その家の子は叱られなくてもタスクをてきぱきこなせるようになりました。

『お支度ボード』は家庭ですぐ使えるキットが市販されています。洗顔や歯磨きなどのタスクカードが、文字だけでなくイラストで描かれていますので、小さい子でも使いやすいと思います。ぜひ、『お支度ボード』で検索してみてください。

マイペースで時間にルーズな子には『模擬時計』

マイペースで時間にルーズな子には『模擬時計』がお薦めです。例えば、リビングの大きなアナログ時計の周りに紙で描いた時計の絵、つまり『模擬時計』を5つ貼ります。

それぞれの針は、「6:55」「7:00」「7:40」「7:55」「8:00」の4つを指しています。そして、その時計の絵の下にはタイトルを貼ります。6:55の『模擬時計』は「勉強の準備」、7:00は「朝食」、7:40は「食べ終わる」、7:55は「着替え終わる」、8:00は「勉強開始」などです。

このように、節目になる大事な時刻を見える化しておくことが大事です。子どもは本物のアナログ時計と『模擬時計』を比べて、「6:55だから勉強の準備だ」「後5分で勉強開始だ」などと意識できるようになります。『模擬時計』で検索すれば、いろいろな実践例が出てきますので、ぜひ参考にしてください。

工夫しても無理なときは諦めよう

ここまで3つの工夫を紹介しました。とにかく大事なのは、ひと工夫してみることです。これらをご参考にして、わが家のわが子に必要な工夫をしてみてください。

とはいえ、それでもうまくいかないことも多いと思います。ここからが大事なのですが、なぜうまくいかないかというと、そういうものは生まれつきの性格によるところが大きいからです。生まれつきのものはそんなに簡単には直らないのです。

ですから、工夫しても無理なときは諦めてください。子どものうちに直さなくても、大丈夫です。今、完璧な人間にする必要などないのです。

実は、子どものうちに直すのは難しい

冒頭でも書いたように、目の前の子どもは「朝は自分で起きない。食後の歯磨きも何度も注意しないとやらない。ダラダラしてやるべきことをやらない。遊んだものを片づけない。勉強しない。お手伝いをしない」など、目につくことばかりだと思います。

それに対して、親たちは「大人になってからでは直らない。子どものうちに直さなければ」と思いこんでいます。今の親たちだけでなく、昔からずっとこう思われてきました。でも、実はこれは迷信です。本当は子どものうちに短所を直すのは難しいのです。かえって大人になってからの方が直りやすいです。なぜなら、大人は直す必要性を強く感じるからです。

直さなければ、仕事に差し支えますし、プライベートも充実しません。時間にルーズでは、大事な取引に遅刻するかもしれません。嫌な書類作成を後回しにしていれば、自分が大変になるだけです。仕事でよい結果が得られなければ収入も上がりません。下手すると首になるかもしれません。こういったことで、大人の方が直す必要性を感じます。しかも、大人になってからの方が自己管理力もあるので、子どものときより直りやすいのです。

できないことは、叱るのではなくやってあげればいい。その方が自立につながる

ですから、子どものうちに直さなければと思い込みすぎないようにしてください。親にできる工夫をしてあげて、それでもうまくいかないときは、諦めてください。そして、一緒に手伝ってあげてください。それでも無理なら親がやってあげればいいです。

でも、そういうことを言うと「やってあげたりしていると、子どもはますます自立できなくなる」という反論が予想されます。でも、実はこれも迷信であり、最先端の児童心理学や教育心理学では否定されています。

最先端の心理学では、次のように言っています。
ここはとても大事なので、しっかり読んでください。

「できないことをいつまでも叱っていると、子どもの自己イメージが悪くなってしまいます。つまり、『どうせ自分はダメな子だ。できっこないよ』という自己否定的な思い込みに支配されてしまうのです。すると、よけいにできなくなります。ですから、どうしても無理なときは、一緒に手伝ってあげてください。それでも無理なら親がやってあげてください。そのほうがかえって子どもはできるようになります。なぜなら、自己否定的な思い込みに支配されなくて済むからです。そして、親がいちいち叱らずにやってくれていると、子どもは親の愛情を実感して親に感謝する気持ちが出てきます。それによって親子関係がよくなります。すると、親の言うことにも素直な気持ちで耳を傾けられるようになります。こういったことで、いつまでも叱り続けるより、親が手伝ったりやってあげたりした方がいいのです」

できるだけ安らかな気持ちで過ごそう

ということで、大切なことをもう一度言います。工夫しても無理なときは、諦めて手伝ったりやってあげたりしてください。そういう現実的な方法でしのいでいるうちに、だんだんできるようになった子は星の数ほどたくさんいます。

そして、「やってあげていいんだ」とわかると、親の気持ちも安らかになります。「自分でやらせなければ。今のうちに○○を直さなければ」という強迫観念が親たちを苦しめているのです。

新型コロナウイルスのために窮屈な毎日が続いていますが、上記のことを頭に入れてできるだけ安らかな気持ちで過ごして欲しいと思います。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。TwitterやYouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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