夏休みに崩れた生活リズムを取り戻す5つの心がけ
夏休みも中盤以降になると、生活リズムがだいぶ崩れているかもしれません。そのまま2学期に入ると、ダラダラとした生活を引きずってしまうので気をつけたいですね。夏休み中盤に、生活リズムを整える5つのポイントを、教育評論家の親野智可等先生に聞きました。
家庭内に生活リズムを保ちやすいしくみづくりを
生活リズムが乱れて望ましくない姿が見られたときに、いちいち叱っていては親子ともにストレスがたまってしまいます。子どもが適切な生活リズムを維持しやすいように、家庭内にしくみをつくることを心がけましょう。
【1】生理的なリズムを整える
大人は生理的なリズムが多少崩れても意志力によってカバーできますが、子どもは意志力が弱いので生活が乱れてしまいます。「寝る」「起きる」「食事」「大便」の4つの時間を固定することが、生理的なリズムを整えるためのポイントです。
夜は決まった時間に消灯し、起床したら日光を浴びて体内時計を整えましょう。そして3食の食事を決まった時間にとるようにすれば、おのずと排泄も同じ時間になるはずです。
【2】「時間割」を作ろう
時間は目に見えないため、意識することが難しく、ついダラダラと過ごしてしまいがちです。そこで時間を「見える化」するために、家庭でも時間割を作りましょう。
時間割はひとつではなく、「塾がある日」「習い事がある日」「何もない日」など、生活に合わせて複数のパターンを用意しましょう。子どもと一日の生活の流れを確認して、「起床」「勉強の準備」「朝食」「大便」「勉強」「昼食」「自由時間」……などの時間を決めてください。
一日のスケジュールを決めずに、思いついたときに勉強したり入浴したりする生活と比べ、時間割を意識することで生活リズムは格段に整いやすくなります。
【3】「模擬時計」を作ろう
時間の見える化の一環として、模擬時計もおすすめします。模擬時計とは、画用紙などにアナログ時計の絵と、時刻を表す針を描いたもの。「勉強の開始時間」「寝る時間」など、特に守りたいことの時刻を示した模擬時計を複数作り、リビングなどに設置されているアナログ時計の隣に貼ります。
こうすることで時計を見るたびに自然と模擬時計も目に入り、「勉強を始める時間まで、あと10分だ」などと時間を強く意識できます。「あと5分…3分…1分…」と、時間が減っていく様子が目に見えるため、時間を意識するようになります。
【4】やるべきことを「カード」にしよう
子どもは自分が毎日やるべきことをまだ十分に認識できていない場合があります。例えば、朝起きたら、顔を洗って、歯をみがいて、着替えて、朝ごはんを食べて……といった流れは、大人にとっては当たり前の習慣でしょう。しかし、小さい子どもはまだ習慣として身についていないので、毎朝、「早く歯をみがいて!」などと同じ注意を繰り返しているというご家庭もあるのではないでしょうか。
そういう場合は、やるべきことを「カード」にして冷蔵庫などの見える場所に貼っておくことをおすすめします。例えば、朝なら「洗面・手洗い・うがい」「髪をとかす」「着替える」「脱いだ服をたたむ」「勉強の準備」といったカードを作り、できたら一つずつ裏返します。裏には、花丸やニッコリ笑顔のマークなどを書いておくといいでしょう。朝食後は、「食器を下げる」「歯みがき」「トイレ」「勉強を始める」などのカードが考えられます。
字が読めない幼児の弟妹がいるご家庭では、やるべきことを写真や絵にしてカードを作ると、同じように生活習慣が身につきますよ。
【5】勉強は「とりあえず準備」「とりあえず一問」
大人でも、やらなくてはいけないのに、何となくやる気が起こらずに先延ばしにしてしまうことがよくあります。そんな場合でも、実際に始めてみると思っていたより大変ではなく、「早く始めておけばよかった」と感じることが多いものです。
それは子どもの勉強でも一緒です。勉強に手をつけないままでいると、勉強の負担感が妖怪のようにどんどん大きくなっていきます。そこで、まず取り組み始めるまでのハードルを下げてあげましょう。
シンプルですが効果的な方法が「とりあえず準備」です。朝食後に勉強をする予定なら、朝食前にその日に勉強をする道具を揃え、該当するページに付箋を貼るなど準備をします。すると、勉強する内容や分量をだいたい把握して見通しがもてるため、漠然とした不安がなくなり、何もしない場合に比べてハードルが下がります。
さらに一歩進んだ方法が「とりあえず一問」です。準備するだけではなく、朝食前に一問だけ問題を解いておきます。一問やることで全体の見通しがつき、「だいたいこれくらいだな。たいしたことないな」となります。このように子どもの気持ちに寄り添ったフォローを心がけると、子どもに対してガミガミと叱ることはほとんどなくなるはずです。