夏休みに子どもが「やりたいこと」を応援すると、こんな成長が期待できる!
たっぷりと時間がある夏休みは、普段、子どもがやりたいのにできないことにチャレンジさせてあげましょう。子どもが好きなことに夢中で取り組むと、たくさんの成長が得られるといいます。教育評論家の親野智可等先生にお話を聞きました。
やりたいことに夢中になると、こんな成長が得られる!
普段、子どもは学校や塾で「やらされること」が多く、自分が心からやりたいことに夢中になれる時間をあまりもてません。そこで自由な時間をとりやすい夏休みは子どもがやりたいことを積極的に応援してあげましょう。動物、魚、昆虫、恐竜、音楽、読書、工作、絵画、プラモデル、漫画……対象は何でもかまいません。子どもはお金や情報が限られ、一人では遠出もできませんから、大人の応援がなければ好きなことを深められません。例えば、昆虫が大好きな子どもには、自然がいっぱいの場所に一緒に採りに行ったり、飼育グッズや図鑑を買ってあげたり、昆虫博物館に連れていったりといったサポートが考えられるでしょう。
学校の勉強に直接関係がなさそうだからといって、「そんなことより勉強しなさい」などと水を差すようなことは言わないでください。子どもが好きなことに夢中に取り組むと、次のような成長が期待できるのです。
◆自己肯定感が高まる
「この分野では誰にも負けない」と、自己肯定感が高まります。他のこともがんばればできるという気持ちも芽生え、学校の勉強をがんばる支えになるでしょう。
◆自己実現力が身につく
自分がやりたいことを見つけて、それをやり抜く自己実現力が身につきます。やらされるのではなく、やりたいことをとことん追い求められる。これこそ本当の自立であると私は思います。
これからの社会で求められるのは、仕事が与えられるのを待つ人ではなく、自分で仕事をつくり出せる人です。子ども時代に好きなことを深める中で育まれた自己実現力は、きっと大人になって生かされるでしょう。
◆親子関係が良くなる
自分が大好きなことを応援してくれる保護者に対して感謝の気持ちが強まるでしょう。子どものことをほめたり認めたりする機会も多くなります。
◆自由研究にもなる
好きなことを深める過程は立派な自由研究になります。例えば、ブロック遊びが好きなら、制作過程を写真に撮り、経過の説明や工夫したこと、上手に作るコツなどをまとめましょう。サッカーが好きな子どもなら、リフティングの写真とともに、どのようなポイントに気をつけて練習したら回数が増えたのかを自分なりの分析とともに解説するといいでしょう。
やりたいことが見つからない場合は?
「やりたいことがない」という子どももいるかもしれませんが、その場合は「まだ出合っていないだけ」と考えてください。いろいろな体験を試す中で、「これをやってみたい!」という対象がきっと見つかるでしょう。そうした出合いを求めるのにも、夏休みは絶好のチャンスです。この時期は、公民館や児童館、図書館、科学博物館、ミュージアムなどで、子ども向けのさまざまな体験教室が実施されていますから、たくさん連れて行ってあげてください。都会在住で自然と触れ合う機会が少ない子どもには、アウトドア体験もおすすめです。
夏休みは、学校の勉強に限らず、ぜひとも体験を中心とした広い意味での勉強にも力を入れてください。すぐに目に見える学力として表れるとは限りませんが、長い目で見れば貴重な学びになることはまちがいありません。