中学で英語が得意になる! 第4回 英語が得意になる方法(3) 英文の意味を理解する【後編】
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。一方、ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査(2009年)によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割に上っています。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすためには、何が必要なのでしょうか?
前回までに続き、このシリーズでは、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎先生に、中学英語のつまずきやすいポイントとその解決方法について解説していただきます。
今回は、簡単な道案内の会話を使った英文理解法。ポイントはジェスチャーです。「例文の理解と暗記」というつらい作業が同時に楽しく進み、高い効果が期待できる学習法です。
<中学で英語が得意になる!(動画)>
「どこで道案内をしているか」を予測する
<4-2.英文の意味を理解する(動画)>
以下の道案内の会話文を見てみましょう。
A: Excuse me.
Where is the baseball stadium?
B: Go along this street
and turn right at the third traffic light.
Walk two blocks.
Then you’ll see it on your left.
A: Thank you.
Aさんが道を尋ねています。野球場に行きたいようですね。こちらがその地図だとすると、この会話はどこで行われていますか? というふうに質問をすると、子どもたちが自主的にこの会話を読み始めるよいきっかけになります。
会話をよく読むと、地図の★をつけた場所で道案内をしているんじゃないかと予想されますね。
ジェスチャーを付けて話すと、理解と習熟が同時に進む
<4-3.英文の意味を理解する(動画)>
次に、この会話にジェスチャーを付けてみましょう。
ジェスチャーを付けて演技するためには、暗記していかないといけません(習熟)。また、どの場面でどんなジェスチャーを付けるかを考えることは、習熟の前の「理解」の段階になります。英文の内容を理解して暗記(習熟)するという、いちばん地味でつらい活動を、いかに楽しくしてあげるかが、大人のできる工夫です。
さて、“ Excuse me. ”にはどんなジェスチャーを付けられるでしょうか。
「えーと、すみません……」という感じで、Bさんの前に行って呼び止める子もいますし、後ろから肩をたたいて“ Excuse me. ”とやる子もいます。子どもたちはいろいろと工夫をしてきます。
それから“Where(手を広げて「どこ?」) is the baseball(バットを構えて「野球」のジェスチャー) stadium(手でスタジアムの形をつくる)? ”のような動きが考えられますね。
Bさんのジェスチャーは、たとえば……
Go along this street(「この通りを行って……」と、真っすぐ前方を指差す)、
and turn right (「右に曲がる」動き)
at the third traffic light.(「3つ目の」と指3本で示し、「信号」の形のジェスチャー)
Walk (「歩く」動き)two blocks.(「2」を指で、「ブロック」を四角形で示す)
Then you’ll(「あなた」を示す) see it (手を目の上にかざして「見る」)
on your left(「左側」を指す).
このように、ジェスチャーを付けて演技をすることで、理解と習熟を同時に行うことができます。
メモをもとに、相手のセリフを復活させる
<4-4.英文の意味を理解する(動画)>
この学習で気を付けたいのは、Aさんは自分の短いセリフをしゃべったあと、安心してしまって、Bさんのセリフをよく理解せずに終わってしまう可能性がある、ということです。
これを防ぐためには、Bさんのセリフを聞いているあいだ、Aさんはメモを取るようにしましょう。ごく簡単なメモでかまいません。説明を聞いたあと、Aさんはそれを見ながら、英語で復唱します。
たとえば、次のようになりますね。
A: So, I walk along this street to the third traffic light,
and turn right,
and walk two blocks,
and then, I’ll see the baseball stadium on my left.
B: That’s right!
このように、Aさんは簡単なメモを頼りに、Bさんの会話の内容を復活させてみましょう。Bさんのセリフとまったく同じにならなくてもかまいません。こうすることで、AさんはBさんの会話の内容を注意深く聞き、よく理解するようになります。CDの音声や、ご家族のかたが読み上げる英文を聞き、メモをとって復唱することで、非常に力が付くのです。
このように、教科書の本文を使った活動にも、工夫を加えることで、理解と習熟の度合いが深まっていきます。
次回からは、リスニング力を伸ばす7つのコツを教えていただきます。
『田尻式フォニックスかるた』 <ベネッセコーポレーション/田尻悟郎(編)/3,150=税込み> |