成績上位層と中位層、実は勉強時間にあまり差はない。では、差があったこととは?【後編】
- 学習
調査・研究の観点から子どもたちの教育を考えるベネッセ教育総合研究所と、日々お客様の声に耳を傾け教材を制作する進研ゼミ『中学講座』。今回は、それぞれを代表するお二人にお越しいただき、まもなく始まる新学期に向けて、成績をUPさせるうえで重要な「勉強のやり方」について議論いただきました。後編では、勉強以外の観点から、成績上位層と中位層の違い、さらには今この瞬間から実践したい習慣について議論していただきました。(前編はこちらから)
※実際の対談はマスクを着用し、感染症対策を万全にした上で実施をしております。
成績上位層ほど、自分の意見をアウトプットできている
岡部:学習以外にも、成績上位層と中位層で差がついた要素があります。例えば、「自分の進路を考える経験」です。具体的にいうと、上位の中学生は、「自分の進路や将来について深く考える」「疑問に思ったことを自分で深く調べる」といった経験が豊富でした。
山根:中学生はよく動画やSNSなどに触れていますが、その中で得た情報を自分の意見にしてしまう傾向があるように感じています。気になったテーマについて自分で一次情報を調べてみる、答えがない問題について信頼できる相手と議論することなどがますます重要になってくるように感じます。
岡部:日常生活だけでなく、上位層は「授業の話し合いで積極的に発言する」ことができています。学校の授業でも、自分で調べて考えたことを発表したり、チームで議論したりすることが増えています。普段から考えるクセをつけておくと、授業にも主体的に参加でき理解も深まります。
出典:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2021」
注1)「とてもあてはまる+まああてはまる」の%。
山根:新学習指導要領に移行してから、授業での協働的な学びの機会は増えていますよね。発言することは難しくても、レポートにまとめるなどで自分の意見をアウトプットすることは大切だと思います。
岡部:積極的に発言するには自信も重要です。学校における協働的な学びや一人一台デジタル端末の導入などにより学び方の選択肢は多様化していますが、子どもの学ぶ意欲は高まっているとはいえません。もしかしたら、子ども一人ひとりのがんばりや努力を認める、褒める機会は大きく増えていないのかもしれません。
山根:赤ペン先生が「ここまで理解できているね」と問題を解く過程を褒めたり、勉強のやり方を褒めたりすることもあります。子どもにとって承認される機会は重要ですし、そこで自信を得られることで前向きに進路を考えられたり、主体的に授業に参加できるようになったりと好循環になっていくのだろうなと思います。
岡部:ある教科が得意で好きな人に、その教科に対する考え方や面白さを聞いてみるのも効果的です。学習動機を大きく3つに分ける考え方があります。面白いからやりたくなる「理解動機」、負けたくないからやりたくなる「競争動機」、そして、こういう人のようになりたいからやりたくなる「感染動機」の3つです。その教科が好きで得意な人のそばにいると、自然と影響を受けてその人の考え方や行動を取り入れるようになっていきます。そうしていくうちに、自然と「これは得意なんだ」と思える、自信につながっていくこともあるように思います。
家庭内でできることから始めてみることが大事
岡部:また、生活習慣を整えることに意識的に取り組むことも大切です。大谷翔平選手がプロ野球選手を目指すために、野球だけでなくあいさつやゴミ拾い、部屋掃除や感謝などにも意識して取り組んでいたことは有名ですよね。今回の調査でも、上位層と中下位層とでは食器の片付けや次の日の学校の準備などの項目で差がついていました。まずは、整理整頓や勉強する時の姿勢、周りへの感謝などを意識していくことも、学びに向かう土台として重要なように思います。
山根:そうですね。生活習慣を見直すことで生活リズムが整い、学習時間を生み出すことにもつながるかもしれません。学習習慣が定着していくなかで、勉強のやり方や取り組み方も意識的に変えていくことができるはず。保護者の方もぜひ、声をかけるなど協力していただきたいなと思います。学習時間はもちろん、その他にも様々な重要な項目を勉強させていただき、今後の進研ゼミ『中学講座』の開発に活かしていきたいと思いました。本日はどうもありがとうございました。
岡部:ありがとうございました。
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