図鑑マニアに聞く昆虫図鑑のおすすめは?大型本からポケット図鑑まで徹底比較。調べ方や楽しみ方まで図鑑の活用方法を紹介

子どもたちの好奇心をくすぐる昆虫図鑑は、昔から人気が高い図鑑のひとつ。身近な場所で見つけた昆虫の種類を調べたり、美しい昆虫の写真にわくわくしたり、昆虫の生態に驚いたり、多くの学びがあります。
昆虫図鑑は、小さい子ども向けの図鑑から、大人も楽しめる図鑑まで、関連本もあわせると非常に多く出版されています。数ある昆虫図鑑の中からどのように選ぶといいのでしょうか。
1000冊以上の図鑑コレクションを持ち、図鑑マニアとしてテレビにもご出演されている斉木健一さんに、奥が深い昆虫図鑑の世界を解説していただきました。

この記事のポイント

『小学館の図鑑NEO』『学研の図鑑LIVE』『講談社の動く図鑑MOVE』の3大図鑑ではどう違う?

まずは、人気の高い『小学館の図鑑NEO』『学研の図鑑LIVE』『講談社の動く図鑑MOVE』の3大図鑑を見ていきます。昆虫図鑑は調べる時に使うことが多く、種類が多いことはそれなりに重要です。また掲載写真が実物大であるかということも、採取した昆虫の特定には大切なポイントとなります。クワガタムシのページを使って、紹介していきます。

『小学館の図鑑NEO』(小学館)は、本物にこだわった、長く使える図鑑

小学館の図鑑は長い歴史があり、NEOシリーズも本物にこだわって作られています。スペシャル特典『ドラえもん・のび太のびっくり~~DVD』がついているものもあり、小さな子どもも楽しみやすいでしょう。
昆虫図鑑は、丁寧に撮影された標本写真を使用。あしの開き方など統一されており、色もきれい。生態写真も掲載されています。

・昆虫系の図鑑が豊富
・豆知識やトピックスが多い
・飼育や調理などの記事も掲載
・昆虫写真は、統一された美しい標本写真。生態写真も掲載
・昆虫の大きさはだいたい実物大。小さい昆虫は拡大したものと、実物大のシルエットを並べて掲載
・価格2200円(税込)
(データは2021年4月現在)

https://www.shogakukan.co.jp/pr/neo/

『学研の図鑑LIVE』(学研プラス)はスマホとの連動画像も楽しめる

LIVEは図鑑本編に掲載されている種類も豊富で調べものをするときにも役立ちます。BBCが制作した映像や学研オリジナル映像を収めたDVD付き。アプリとの連動も楽しめます。昆虫図鑑は、体の特徴がわかる拡大写真や色鮮やかな写真、生態写真も掲載されています。

・種類豊富な掲載量
・連動アプリがある
・昆虫写真は美しい標本写真。拡大写真や生態写真も多数
・昆虫の大きさにこだわっている。小さい昆虫は拡大と実物大シルエットで掲載
・価格2.420円(税込)

https://zukan.gakken.jp/live/

『講談社の動く図鑑MOVE』(講談社)は、迫力のある生態写真が特徴

『NHKスペシャル』などNHKアーカイブスの中から厳選された映像が収録されたDVDが付いています。図鑑は迫力のある写真で、生きている姿が多いです。昆虫図鑑は、本格標本写真と迫力のある生態写真を掲載。躍動的な昆虫の姿を見られます。

・迫力のある写真
・生きている姿が多い
・本格標本写真と、生態写真を掲載。躍動的な昆虫の姿が見られる
・実物より大きく掲載されている昆虫も多い。実物大はシルエットで掲載
・価格2.200円(税込)

http://zukan-move.kodansha.co.jp/

3大図鑑のさらに詳しい比較は、子ども向け図鑑のおすすめはコレ! 『小学館NEO』『学研LIVE』『講談社MOVE』の3大シリーズを図鑑マニアが徹底比較!をチェックしてみてください。

1つのシリーズから複数巻出ている昆虫図鑑の奥深さ

次は、さらにおすすめの昆虫図鑑を紹介します。昆虫図鑑の世界は奥が深く、関連本も非常に多いです。ひとつのシリーズから複数の昆虫図鑑を出版しているところもあります。
小学館の図鑑NEOシリーズには、『昆虫』のほかに、『昆虫2』、『カブトムシ・クワガタムシ』『イモムシとケムシ』まであります。内容的にはどれもあまり被っておらず、別物として楽しめます。
地球上の昆虫が約2300種も掲載された『昆虫2』(小学館)は、背面、腹面、側面、正面などさまざまな角度から撮影された美しい標本写真で、細かい部分もよくわかるようになっています。海外の昆虫が多く、簡単に採集できるものではないけれど、見ているだけで楽しい図鑑です。

『小学館の図鑑NEO 昆虫2』(小学館)2,200円(税込)

日本と世界のカブトムシとクワガタムシを1冊にまとめた図鑑『カブトムシ・クワガタムシ』は、NEOとLIVEの両シリーズから発売されています。NEOでは約850種が実物大で掲載され、LIVEには日本のカブトムシとクワガタムシの全種、海外の人気種の合計約940種が掲載されています。

『小学館の図鑑NEO カブトムシ・クワガタムシ』(小学館)2,200円(税込)

『学研の図鑑LIVE カブトムシ・クワガタムシ』(学研プラス)2,420円(税込)

https://hon.gakken.jp/book/1020489600

これから流行するであろうと思われるのは、イモムシとケムシのジャンルです。『小学館の図鑑NEO イモムシとケムシ』(小学館)は、約1100種もの幼虫を生きている状態で撮影したリアルな図鑑です。もちろん成虫も載っています。こんな図鑑、世界中探しても日本にしかありません
幼虫図鑑は意外といろいろなところから出版されており、『せんせい!これなぁに?』(偕成社)というシリーズの『せんせい!これなぁに? ①いもむし・けむし』は、見た目で生きものの名前がわかる図鑑です。小さい子ども向けですが面白いと思います。

『小学館の図鑑NEO イモムシとケムシ』(小学館)2,200円(税込)

『せんせい!これなあに ①いもむし・けむし』(偕成社)写真/藤丸篤夫 構成・文/有沢重雄 1,760円(税込)

https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034142103

昆虫採集にでかけるときはポケット図鑑がおすすめ

大型の図鑑は、どちらかというと家で調べたり写真を見たりして楽しむ用で、実際の昆虫採集に持って出かけるには不向きです。ハイキングなどの外出時や昆虫採集に行く際には、ポケット図鑑がおすすめです。
『講談社の動く図鑑 MOVE mini 昆虫』(講談社)は、全211ページの図鑑の内容をスマートフォンやタブレットからwebアプリで楽しむことができ、持ち運んで外出先でも見ることができます。これは大変画期的です。
『学研の図鑑LIVEポケットasobi 昆虫採集』(学研プラス)は、飼育方法や昆虫の持ち方などが書いてあります。また、ライトトラップやバナナトラップという、虫取りの方法なども紹介されており、昆虫採集のノウハウがつまっています

『講談社の動く図鑑 MOVE mini 昆虫』(講談社)1,078円(税込)

https://book-sp.kodansha.co.jp/zukan-move/move10th-product?isbn=9784065163917

『学研の図鑑LIVEポケットasobi 昆虫採集』(学研プラス)1,078円(税込)

https://hon.gakken.jp/book/1020503600

つかまえたあとのことを知る『生きものつかまえたらどうする?』

図鑑というジャンルからは外れますが、昆虫や生き物をつかまえたあとのこと、普通の図鑑ではフォローしきれないところを知るのに『生きものつかまえたらどうする?』(偕成社)も読んで欲しい本です。
昆虫の飼育法を書いている本はありますが、つかまえてから家に帰るまでの連れて帰り方や、その先の問題、例えばイモムシがチョウになったらどうするか、飼いきれなくなったらどうするか、そこまで書かれている本は珍しいです。
実は生きものは、生物多様性の保全に配慮しないといけません。旅行先の九州でつかまえたものを、飼えないからといって千葉県で放してしまうのは、遺伝子汚染につながってしまう可能性があります。種類によっては最後まで飼う、逃がすときはつかまえたところで逃がす、そこまで書かれているのがこの本の肝です。

『生きものつかまえたらどうする?』(偕成社)文/秋山幸也 写真/松橋利光絵/こばようこ 1,650円(税込)

https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784035272007

スマートフォンで撮影する≪昆虫撮影≫

ハイキング中に昆虫をたくさんつかまえても、すぐに死んでしまうし、親によってはつかまえたり飼ったりすることに抵抗があるかたもいると思います。昆虫採集の入門編としては、スマートフォンやタブレット、デジカメなどで撮影するのがおすすめです。≪昆虫採集≫ではなく、≪昆虫撮影≫です。
最近のスマートフォンは性能がいいので、きれいに撮影でき、家に帰って写真を見ながら図鑑で調べることができます。撮影のコツは、はじめは遠くから撮り、だんだん近づいて撮っていくことです。昆虫なら上下左右あちこちから撮りましょう。図鑑はだいたい生きものの特徴が一番わかりやすい方向から撮っているので、バッタは横向きから撮って模様を見られるようにするなど、図鑑と同じ向きで撮影すると後で調べやすいです。

中には、生きている昆虫をどうしても採りたいという子どももいるでしょう。そんなときは、採集した昆虫をチャック付きビニール袋にいれて写真を撮り、撮り終わったら逃がす。これなら採集の楽しみもあるし、家で飼いたくない親でも一緒に楽しめると思います。昆虫撮影は、家に帰って図鑑を見ながら調べることまで含めて、親子で盛り上がれます。

生きている姿が載っている図鑑『日本の昆虫1400』

ガは止まったまま動かない習性があり、撮影しやすいのですが、実は図鑑に載っているガの写真は生きている姿とは違います。チョウもそうなのですが、図鑑は標本写真がベースになっており、羽を広げて撮ったものが載っています。これでは子どもが撮影した生きているガの写真とは一致しません。それを解決している図鑑が『日本の昆虫 1400』(文一総合出版)です。
載っている約1400種の昆虫は生きているときの姿で撮影されています。ガやチョウも生きた姿を撮影した写真なので、昆虫を調べるのに非常に役立ちます。カミキリムシの触角も、普通の図鑑とは違って、前を向いていてかっこいいです。

『日本の昆虫1400 ①チョウ・バッタ・セミ』(文一総合出版)1,320円(税込)

https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-8302-7/Default.aspx

『日本の昆虫1400 ②トンボ・コウチュウ・ハチ』(文一総合出版)1,320円(税込)

https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-8303-4/Default.aspx

昆虫図鑑の醍醐味を親子で楽しむ

図鑑を読んで最終的には、飼ったり、幼虫から成虫にさせて標本にしたり、深いところまで挑戦してほしいところですが、そうなると親の負担も増えます。最初から昆虫が好きな親ならいいですが、そうでない親も多いでしょう。私としては、親が苦手でも、子どもには生きものが好きになってもらいたいので、まずは入り口の昆虫撮影から楽しんで欲しいです。
自然の中で昆虫を捕まえる、公園で見つけた昆虫の種類を調べるなど、昆虫図鑑の醍醐味をぜひ親子で楽しんでもらえたらと思います。

取材・文/井上加織

取材協力
千葉県立中央博物館分館 海の博物館
http://www2.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/

プロフィール

斎木健一

1962年、神奈川県生まれ。千葉県立中央博物館 海の博物館 分館長。1000冊以上のコレクションがある図鑑マニア。『マツコの知らない世界』をはじめとしたテレビやメディアにも多数出演。『図鑑大好き!-あなたの散歩を10倍楽しくする図鑑の話-』(彩流社)の監修・執筆を手掛ける。『講談社の動く図鑑 MOVE 植物』(講談社)の監修も担当。

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