幼児のデジタル学習は与えっぱなしに注意! こんな時期だからこそ家族で楽しめるオンラインコンテンツを 【専門家に聞く第9回目】

近頃、幼児教育においても「デジタル学習」という選択肢が一般的になってきました。特にコロナで在宅時間が増えた今、家庭でできる習い事や遊びの延長として「デジタル学習」を取り入れるご家庭も多いようです。そこで今回は、デジタル学習を取り入れる際の保護者の関わり方について、ぜひ取り組んでいただきたいポイントをご紹介します。お話を伺ったのは、幼児教育とデジタルメディアの関わりを長年研究されている、愛知淑徳大学の佐藤朝美先生です。

この記事のポイント

与えっぱなしではなく会話につなげる

本連載の第8回目では、温かく習慣的な親子のかかわりを通して社会情動的な発達を促進することができることを紹介しました。親子の関わりから教育効果につながることは多くの実証研究でも示されています。たとえば、子どものデジタルプレイ中の親の仲介を調べた調査では4つに分類できたそうです。具体的には、「1、時間とコンテンツを制限する仲介」「2、内容について説明したり話をふくらませる関与」「3、フィルタリングを設定して子どもの行動を制限する技術的な関与」「4、デバイスを使用後に履歴を確認する監視」の4つです。これらは子どものそばにいる時だけでなく、使用前・後に間接的に行うことも示しています。
間接的なものでは、学習後の親子の会話として「今日はどんなことを覚えたの?」「何が楽しかった?」といった質問をお子さんに投げかけ、積極的に話をすることも有効といえるでしょう。それがリフレクションになり記憶の定着と同時に、話す力にもつながります。

※出典:Christine Stephen, Liz Brooker, Pamela Oberhuemer, Rod Parker-Rees(2018)「Digital Play and Technologies in the Early Years」Routledge.

関連リンク:
幼児期のデジタル学習 学んだことを実体験でも生かすことが習得につながる【専門家に聞く第8回目】
http://benesse.jp/kyouiku/202009/20200911-2.html

おうちのかたも一緒に取り組む

家庭において、一緒に過ごす時間を通して親子の関係性を構築していくことはとても大切です。乳幼児期は「三項関係」が成立していく重要な発達段階にあるといわれています。「三項関係」とは、例えば、親と子で共通の対象物を見て、それに対する気持ちを共有することです。玩具や絵本等を通じて、「三項関係」を成立させながら、親子は対話し、子どもの成長が促されます。
テクノロジーの進歩に伴い、玩具や絵本も進化していくことを考慮すると、「三項関係」の中に入る媒介物は、時代と共に変化すると捉えることができます。そして、デジタルメディアのインタラクティブな特性をうまく活用すれば、親子の対話を充実させ、これまで実現しえなかった新たなコミュニケーションを支援することも可能です。デジタル学習を取り入れる際もそのことを意識できると良いですね。

この時期ならではのデジタル活用法

コロナの影響で外出自粛が続いていますが、こんな時期だからこそ、ご家族で楽しめるオンラインコンテンツを探してみるのはいかがでしょうか。おすすめは美術館や博物館が公式に公開している、館内の動画や作品の鑑賞が可能なWEBサービスです。
HASARD(アザー)は『誰でも・いつでも・無料でアートを楽しめる』をコンセプトにするオンライン美術館です。お子さんが小さいとなかなか美術館などを訪れる機会が持てないというご家庭も多いと思いますので、この機会に芸術にもたくさん触れてみてください。ゴッホの絵をクレヨンで真似して描いたり、ご家族で好きな絵画を見つけて紹介し合ったり、モネの絵は何色使っているか競争して数えてみたり、美術館ではなかなか実現できない活動にチャレンジしてみましょう。
また、夏休みに帰省ができなかったおじいちゃん・おばあちゃんの家に、Google Earth(グーグルアース)で訪ねるのはいかがでしょうか。どこにあるのか調べたり、自分の家からどれくらい遠いのか確認したり、また、道中に観光の名所を見つけられれば次回訪問する際の計画をたてることもできますね。ほかにも、デジタルならではの楽しみ方をお子さんと一緒に見つけてみてください。

参照1:HASARD(アザー)
https://wam-hasard.com/?fbclid=IwAR3qiEe4D6h0hWgoatBBJdQsWPctQx4dgaIcXgxMa1JufCB0cn_BFaX5iRA

参照2:Google Earth(グーグルアース)
https://www.google.co.jp/earth/

まとめ & 実践 TIPS

デジタル学習はお子さんが一人で取り組みやすいというメリットがあるが故に、与えっぱなしで完結してしまいがちです。しかし、特に幼児期は親子の関わりが大変重要ですので、デジタル学習に取り組むうえでは<お子さんが学んだことをあとで会話にする><おうちのかたも一緒に取り組む><デジタルならではの楽しみ方を親子で見つける>といった点を意識するようにしましょう。

プロフィール

佐藤朝美(さとう・ともみ)

愛知淑徳大学人間情報学部准教授。博士(学際情報学)。東京大学大学院学際情報学府博士課程、情報学環助教、東海学院大学子ども発達学科を経て現職。教育工学、幼児教育、家族内コミュニケーション、学習環境デザインに関わる研究に従事。日本子ども学会(理事)。オンラインコミュニティ「親子de物語」で第5回、「未来の君に贈るビデオレター作成ワークショップ」で第8回、「家族対話を促すファミリー・ポートフォリオ」で第11回キッズデザイン賞を受賞。

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