小学生から英語力を伸ばすために家庭でできること

小学校では「聞く」「話す」がメイン

2020年度から、小学校5,6年生で英語が教科になります。その背景にあるのは「使える英語」の力の育成です。使える英語の力に必要な「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を将来にわたってバランスよく身につけるため、現在5,6年生の「外国語活動」で行われている「聞く」「話す」を中心に英語に慣れ親しむ活動を3,4年生から「外国語活動」として開始し、5,6年生では「聞く」「話す」力をしっかり育成したうえで段階的に「読む」「書く」力の育成に進めようとしています。
「小学校からいきなり中学校と同じような授業を受けることになるの?」と不安になるかもしれません。確かに、中学校で扱っている文や単語も登場します。ただし、文法の仕組みを理解したり単語を大量に覚えたりするような指導を前倒しするわけではなく、「聞く」「話す」の活動をたくさん行う中で、文や単語を使えるようにする今の「外国語活動」の指導方法を大切にしつつ、正しく「聞く」「話す」ができるようになることを目指します。そこに文字の形に慣れ親しんだ上で、文字を「読む」「書き写す」、そして「書く」ことを段階的に導入していくようになります。
具体的には、例えば、外国人の先生の話やデジタル教科書などから、自然な英語の音をたっぷり聞きます。映像や絵、先生のジェスチャーなどを手がかりに意味を理解して、インプットした音をクラスみんなでまねて発音してみる、といったように「聞く」から「話す」へと無理なくつなげる形で学習していきます。
このように「聞いてわかる」英語を増やしていくことは「話す」、そして「読む」「書く」の力のベースになります。音を聞いて理解し、それを声に出して話せるようにした英語を読んだり書いたりするほうが、読み・書きの力の成長は大きく違います。小学生の間に英語をたっぷり聞いて話すことは、中学校以降のお子さまの「読む」「書く」力にもつながっていくのです。

授業でならった英語をお子さんから教えてもらい、いっしょに真似してみる

では、そのように小学校で英語を学習しているお子さんと家庭でできることをご紹介します。
これは、おうちの方が英語をあまりお得意でなくてもできることです。まず、英語の授業があった日には、その内容について聞いてあげてください。どんなことをして、何が印象に残ったのかいろいろ質問してください。「ゲーム」であれば、どんな英語のゲームだったのか、ビデオや絵本を見たのであれ、どこがおもしろくで、どこが難しかったか、興味を持って聞いてあげてください。そこで印象に残った(覚えている)単語や英文を1つか、2つでもいいので聞いて上げます。身近な単語や英文で、家で使えそうなものは、お子さんから教えてもらい、おうちの方も真似して英語で言ってみるとよいでしょう。そこで、お子さんは改めて英語を声に出すことができます。人に教えることで英語を話す機会が増えるだけでなく、英語への興味・関心や次の授業への取組の熱心さも高めることができます。人は教えたり、伝えたりすることで、自分の学びも深めますから、それはお子さんにとってもよいことです。
ご家庭できることとして、お子さんの趣味や好きなスポーツなどについて、テレビやインターネット番組を英語音声で見ることも有効です。興味があるものは、英語がすべてわからなくても、推測しながら聞き続けることができます。

ベネッセ教育総合研究所が行った研究結果では、英語力を伸ばす要素の中に、意味が全部わからなくても概要から理解し、たくさん聞くこと、間違いがあってもどんどん話してみることなどがあります。おうちの方がしてこられなかった英語の学習の仕方だと思いますが、お子さんと一緒に楽しみながらやってみられてはいかがでしょうか。


2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。

プロフィール


加藤由美子

1987年(株)ベネッセコーポレーション入社。1997・98年Berlitz・Singapore学校責任者として駐在。帰国後はベネッセの英語教育事業開発を担当。
研究部門異動後は、ECF(幼児から成人まで一貫した英語教育の理論的枠組み)開発やARCLE(ベネッセ教育総合研究所が運営する英語教育研究会)の立ち上げ、小中高校生の英語学習実態調査、中高の英語指導調査、英語力を上げた学校の研究などに携わる。2019年度からは言語教育研究にも携わる。文部科学省「国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業審査委員(2021年)。

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