教員の質にも影響? 公立学校の教員採用試験 競争倍率が下降傾向に
教員採用試験の競争倍率が、ここ10年低下の傾向を見せている。これによって、懸念されるのはどのような点だろうか。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に詳しく伺った。
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文部科学省がまとめた2013(平成25)年度公立学校教員採用選考試験調査結果には、次のような大きな特徴が見られます。
第2次ベビーブーム時代に大量採用された教員が退職時期を迎え、その穴を埋めるため新規採用者数が増加したことにより、教員採用試験が「広き門」となっているのです。
2004(平成16)年度から13(同25)年度の10年間の競争倍率の推移を見ると、公立学校全体では7.9倍→5.8倍に低下。学校種別では、小学校は4.8倍→4.3倍に、中学校は11.8倍→7.5倍、高校は14.1倍→7.7倍といずれも下がっています。
また、2013(平成25)年度採用試験では、68都道府県・政令指定都市等のうち40府県市で競争倍率が前年度より低下しました。競争倍率が高かったのは、青森県の12.6倍、鹿児島県の11.8倍、宮崎県の11.6倍、長崎県の11.1倍などです。逆に競争倍率が低かったのは、富山県、香川県、北九州市の各4.0倍、滋賀県、静岡市の各4.1倍、岐阜県、新潟市の各4.2倍、千葉県・千葉市、さいたま市の各4.3倍などでした。
競争倍率の低下は新規採用教員の「質の低下」につながりかねないため、教育委員会は受験者を集めるため積極的にPRしています。しかし、教員採用試験の受験者数はやや増加しているものの、採用者数の伸びがそれを上回っているため、結果として競争倍率が下がっています。教育関係者の間では、教員勤務の多忙化や教員に対する社会の目が厳しくなっていることなどにより、以前より教員人気が下がっていることが影響していると指摘する向きもあります。