給食費滞納 モラル低下を問う陰で、払いたくても払えない「貧困」家庭の問題も

給食費滞納 モラル低下を問う陰で、払いたくても払えない「貧困」家庭の問題も数年前にメディア等でも大きく取り上げられた給食費未納問題。先頃文部科学省が発表した「学校給食費の徴収状況に関する調査の結果」によれば、未納者の割合は前回調査(平成22年度)に比べ、0.1減少。未納額は推計4億円減少と、一時期問題になった「払えるのに払わない人」がきちんと払うようになったとも言える。そんななか、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が注目するのは「払いたくても払えない人たち」だと言う。詳しく伺った。

 

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未納の主な原因について学校の認識をたずねると、最も多かったのは「保護者としての責任感や規範意識」(61.3%)ですが、「保護者の経済的な問題」も3校に1校(33.9%)を占めています。効果のあった対応方法(複数回答)を尋ねても、「就学援助制度等の活用を推奨」が19.9%と、5校に1校が回答しています。

 

ここから読み取れることは、確かに給食費滞納には「義務教育は無償なのだから払わなくてよいのでは」「家のローン返済が大変だから後回しにしても構わない」といったような身勝手な理由も数としては多いことです。しかし一方では、就学援助をすすめなければいけないほど経済的に困っている家庭が一定程度は存在している、ということです。

 

同省の調査によると2012(平成24)年度、学校給食費の月額は小学校で約4,150円、中学校で約4,800円でした。月4~5,000円なら何とか払えるだろうと思いがちですが、それでも大変な家庭があるということに想像力を働かせる必要がありそうです。前回調査はリーマンショック(2008<平成20>年9月)後の世界的不況余波が続いていた時であり、それに比べれば「保護者の経済的な問題」(前回43.5%)や「就学援助制度等の活用を推奨」(同25.3%)は減っていますが、問題が解消に向かっていると見るのは早計でしょう。

 

出典:給食費滞納の中にみる家庭の「貧困」 -ベネッセ教育情報サイト

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