いよいよ動き出したデジタル教科書 現状と課題を解説

いよいよ動き出したデジタル教科書 現状と課題を解説仕事や日常生活にパソコンをはじめとした情報通信技術(ICT)を活用することが当たり前になる中、教科書のデジタル化はなかなか実現していない。しかし、ここにきて、ようやく動き出すことになりそうだ。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に現状を解説してもらった。

 

***

 

政府の「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」(IT総合戦略本部)が2013(平成25)年末にまとめたアクションプラン(実行計画)に、「教科書の電子化」の検討が盛り込まれました。教師用デジタル教科書の整備率は前年同期に比べて9.9ポイント増えており、急速に普及している様子が伺えます。各学校で電子黒板が普及していることを背景に、教科書会社が電子黒板用に教科書のデジタル化を進め、活用してもらおうとしていることが大きな要因です。

 

しかし子ども用の教科書のデジタル化には、さまざまな課題があります。教科書のデジタル化は単にペーパーレスにするというだけでなく、学習効果を高めるため、音声や動画にリンクしたり、書き込みを教室内で共有したりすることも期待されます。それには著作権の問題や技術的な問題もさることながら、コストの問題もからんできます。現在、紙の教科書は1冊1,000円もしない低額に抑えられていますが、はるかにかさむコストを誰がどう負担するかも問題です。

 

政府は2010(平成22)年6月、デジタル教科書も含め20(同32)年度までに1人1台の情報端末による学校教育を実現させる目標を立てました。また、2013(同25)年には「世界最先端IT国家創造宣言」で、デジタル教科書・教材の位置付けや制度、環境整備に関する検討を明記した新たな工程表を示しています。一方、文部科学省が2011(同23)年4月に策定した「教育の情報化ビジョン」では、学校教育の情報化を、子ども一人ひとりに応じた「個別学習」や、子どもたち同士が教え合ったり学び合ったりする「協働学習」など学習の質を高める「学びのイノベーション(技術革新)」につながるものと位置付けています。

 

出典:「デジタル教科書」いよいよ実現へ IT戦略で動き出す? -ベネッセ教育情報サイト

子育て・教育Q&A