約9割が定員割れの法科大学院、いよいよ再編へ

約9割が定員割れの法科大学院、いよいよ再編へ「日本版ロースクール」として鳴り物入りで創設された法科大学院。その抜本的な再編がいよいよ始まる。文部科学省は、法科大学院に対する補助金制度を大幅に見直し、評価の低い大学院については、今後2年以内に評価上位の大学院と統合しない場合には、補助金の交付廃止を決定した。法科大学院は今後どうなるのか? 教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。

 

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法科大学院は2004(平成16)年度の創設当初、修了者の7割程度が司法試験に合格できると想定されて、大変な人気を集めました。しかし、大きな誤算が二つありました。一つは、法科大学院数が増えすぎたこと。もう一つは、弁護士需要の増加を見越して年間3,000人を司法試験で合格させようとする政府の計画が、法曹関係者らの強い反対で実現できず、司法試験に合格できない法科大学院修了者が大量に出現したことです。このため志願倍率は急激に落ち込み、約9割の法科大学院で定員割れしています。

 

これを受け文科省は、2015(平成27)年度から法科大学院への補助金(国立大は交付金)制度を見直すことを決定。具体的には、
(1)司法試験合格率
(2)法学部出身者以外の学生の司法試験合格率
(3)入学定員充足率
(4)法学部出身者以外の学生や社会人の入学者数
(5)地域事情と夜間開講
という5項目で点数評価し、評価により補助金を減額、加算することにしました。

 

評価の低い法科大学院は、2年以内に評価の高い大学院と統合しないと、2016(同28)年度から補助金がゼロとなり、統合交渉が進まなければ実質的には廃校に追い込まれます。

法科大学院の再編は不可欠ですが、政府や文科省の見通しの甘さが現在の事態を招いたことも否定できません。文科省には、統廃合など在籍学生が不利にならないような配慮や、今後の法曹志望者に無用な心配をかけないよう、法科大学院の全体像を明確に示す責任があるといえるでしょう。

 

出典:法科大学院、避けられない大再編 補助金見直しで統合推進 -ベネッセ教育情報サイト

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