家では素直で問題ないのに外で問題行動が多い[教えて!親野先生]

【質問】

 

家では素直で問題ないのですが、学校と塾と習字ではなぜか問題行動が多いようで、決まりを守らなかったり突然大声を出したりするそうです。
習字の先生が「○○しようね」と言うと「やだ、なんでやらなきゃならないの?」と反抗するそうです。
学校では、本棚のところでプリントをやっていたので先生が「自分の席でやろう」と注意したら、怒ってわめきだしたそうです。塾でも同じようなことがありました。
どの先生も周囲の評判は良い先生方ですし、子どもも家ではそんなことはないので信じられないというか不思議です。主人はわたしが家で事細かに指図しすぎるからだと言いますが、そんなに厳しく叱ってもいないのですが……。(スタイルヘルプ さん:小学1年生男子)


家では素直で問題ないのに外で問題行動が多い[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

スタイルヘルプさん、拝読いたしました。

家では問題ないのに、学校・塾・習い事の3か所から同じことを言われているということでご心配だと思います。
1か所だけなら、その先生の人間性や指導力の問題ということもあるかもしれません。あるいは子どもとの相性の問題かもしれません。でも3か所となると、しかも周囲の評判の良い先生となると、そういうことではないと考えるほうが自然ですね。

実は、このように家では素直で問題がないのに外で問題が出る子はけっこういるのです。私が受け持った子の中にもいましたし、珍しいことではありません。その理由として次のようなことが考えられます。

・親の期待や要求が高くて、子どもはそれに応えようとしてかなり無理をしている
・親が過干渉で事細かい指示が多い
・子どもは親の望みをかなえてあげたいと思って、がんばりすぎている
・親に本音を言えない。親に「ノー」と言えない
・わがままを言えない。言っても共感してもらえない
・親の前ではいつも良い子を演じている。親はそれが本当の姿だと思い込んでいる
・親が厳しくて、家でリラックスするどころか緊張していなくてはならない
・親と楽しくおしゃべりしたり遊んだり触れ合ったりする時間が少ない

このような状態になっていないか一度振り返ってみてください。これらの場合、家で溜(た)め込んだストレスや欲求不満が外で出ることになります。家で良い子を演じているのでその反動が外で出るのです。
親が感情的に叱ることで子どもをコントロールしている場合は、非常によく出ます。でも、特に感情的に叱りつけたりしていなくても、結果的に上記のような状態になっている場合もあります。

たとえば間違ったほめ方をしている場合です。
実は、「叱るどころかほめて育てています」という親でもこうなることがあるのです。
「わがままを言わなくて良い子だね」というほめ方をしていると、子どもはわがまま、つまり本音が言えなくなります。「いつもがんばっていてえらいね」「いつも100点ですごいね」などのほめ方も子どもに余分なプレッシャーを与えます。子どもに重圧がかかり息が抜けなくなるのです。
実際、「パパは子どものころ100点ばかりだったんだって。パパの子だから、あなたもいつもテストが100点なんだね。さすがだね」とほめていたら子どもがテストの点を改ざんするようになった例もあります。

これらは親が子どもをコントロールするためのほめ方であり、間違ったほめ方です。子どもへの高い望みと強い要求があり「それができたらほめてあげる。言うことをきいたらほめてあげる」という条件つきのほめ方です。

「叱ってはいない」という親でも、このような間違ったほめ方によって子どもを追い込んでいることがあります。これは親自身で気づかないことが多いのです。ですから、自分のほめ方がそうなっていないか振り返ってみてください。
親はどうしても子どもをコントロールしようという気持ちが先に立ってしまいます。「こういう子になってほしい」「これをさせなければ」という気持ちがあるので、気づかないうちに子どもをコントロールしてしまうのです。

それに気づいていてください。
そして、もっと子ども自身の主体性を大切にしていくことが大事です。子ども自身が本当にやりたいことを大切にしてあげることが大事なのです。たとえそれが親から見るとあまり価値のないことでも大事にしてあげてください。

自分のやりたいことに没頭しているとき、子どもは素の自分でいることができます。そういう時間の中で、子どもは生きる喜びを味わいますし心も満たされ安らかになります。
本当にやりたいことをやって、楽しみながら頭を使っているうちに頭が良くなり、理解力・思考力・記憶力・創造力もつきます。集中力もつきますし自分への自信もつきます。
家でこういう時間が持てている子は、家で溜め込んだストレスや欲求不満が外で爆発するなどということもなくなります。

もう一つ、親の心構えとして、子どもへの共感を大切にして本音が言えるようにしてあげることも大切です。
子どもが「○○がイヤ」「○○したくない」といったとき、先生に叱られたと言ったとき、テストの点数が悪かったとき、こういうとき叱るのではなく子どもの気持ちに共感して許してあげることが大切です。そうすれば、子どもは良い子を演じなくて済みます。本音を言えるようになり、ありのままの素の自分でいられるようになります。

でも、ここで勘違いしないでほしいのですが、子どもに共感するのは子どもをコントロールするためではありません。これを誤解しないでください。最終的には親の思うようにするために、取りあえず子どもに共感を示しておくということではいけません。そんなものはすぐに子どもが見抜きます。

親の思うようにコントロールするという発想そのものが問題です。これは親の中に根深くある根本的な問題です。親からのプレッシャー・重圧が、子どもの成長の足を引っ張っていることが本当に多いのです。
親がコントロールしてばかりいると、子どもの主体性が育たなくなります。子どもは依頼心が強くなり、消極的で自己主張も自己決定もできなくなります。行動力も創造力も育ちません。

子ども自身のやりたいことを大切にしてあげてください。そして、本人の気持ちや本音を理解して受け入れてあげてください。そうすれば、子どもは自立心が育ち、行動力や創造力も育ち、主体的かつ積極的に人生を生きていけるようになります。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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