「通知表」がどんな成績でも、まずは褒めよう!モチベーションUPにつながる褒め方とは【子どもの心理学】

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学期末が迫り、間もなく通知表を受け取る時期ですね。子どもより親のほうがドキドキするというかたも多いのではないでしょうか。
実は、通知表を開いたときに保護者のとるリアクション次第で、お子さまをぐんと成長させるチャンスに変えられることをご存じでしょうか?
今回は、子どもの動機づけについて研究されている筑波大学人間系准教授の外山美樹先生にお話を伺い、通知表を受け取った際の保護者のリアクションで注意すべき点と、おすすめの声かけのコツをご紹介します。

誰かと比べる・叱るは絶対NG!「できていること」を褒める

そもそも通知表とは、お子さまの単元ごとの理解度や、日々の生活の様子を振り返り、保護者がお子さまと一緒に次の目標を設定するためにあります。ですから、たとえばご兄姉や親戚、ご友人と成績の良し悪しを比較したり、できていないことにだけ目を向けたりするのには、あまり意味がありません。それよりも、まずは「できていること」に目を向ける方が最優先です。どんなお子さまも、以前に比べて必ず成長しているところがあり、成長する可能性をもっているものです。そのことを信じて接するようにしましょう。

通知表の成績が思わしくなかったときに叱ったり、罰を与えたりするのはNGです。失敗に対する恐怖・不安が強くなってしまい、今後通知表を保護者に見せること自体が嫌になってしまう可能性があります。それよりも、できるようになったことやその過程をとにかくたくさん褒めて、認めてあげましょう。

心理学の研究で「ピグマリオン効果」「ゴーレム効果」というものがあります。
「ピグマリオン効果」とは、子どもに何らかの期待を抱いて接すると、実際にその子どもが期待に沿った方向に変化していくというものです。
一方「ゴーレム効果」はその逆で、子どもに「できない子」と決めつけて接すると、実際にその子どもがその通りに変化してしまうというものです。保護者の言葉がお子さまに与える効果は絶大ですので、決してゴーレム効果にならないよう、今回の通知表からわかるお子さまの良い部分をたくさん見出してあげてください。

通知表を見たときの親のNG行動

  • ・誰かと比べる
  • ・成績が悪いと叱る
  • ・罰を与える

通知表を受け取ったらまず褒める!知っておきたい3つのポイント

では、具体的に通知表のどのような部分を見て声かけをすればよいのでしょうか? お子さまを褒める際に覚えておくとよい3つのポイントをご紹介します。

1.結果よりも過程を褒める

もちろん結果も大切ですが、そればかりを重視すると「結果さえ良ければどんなことをしても問題ない」と考えるようになり、深い学びにつながらないと言われています。
心理学の研究で、成績ばかりをほめられた子どもはカンニングをしてまでも良い結果を出そうとする、という結果さえあると言います。

大事なのは成績そのものではなく、お子さまが「努力したこと、がんばったこと」の結果として「良い成績に結びついた」ということに気づかせる声かけです。ですから、前回の通知表と比べて良くなっている部分を引き合いに出したり、今学期のお子さまの様子を振り返ったりしながら、その過程を褒めてあげましょう。

2.できるだけ具体的に褒める

お子さまが努力した過程を思い返せるように、できるだけ具体的な声かけをしてあげましょう。
たとえば、前回よりも◎の増えた項目があれば、「がんばったね、毎日コツコツと漢字の練習をしていたからだね」「テストで間違えた所をきちんと復習して偉かったね」という具合です。
がんばったことを褒められるとお子さまのモチベーションは一気にUPしますので、次の目標へ向かって前向きに取り組んでいくことができます。

3.結果が悪いときは原因を一緒に考える

もし通知表の成績が前回よりも落ちていた場合は、叱るのではなく、どうしてそうなったのかを親子で一緒に話し合ってみましょう。

その際、保護者の意見を一方的に伝えるのではなく、お子さま自身に原因を考えさせるよう質問することが大切です。
たとえば、「算数の成績が前回よりも落ちたのは、なぜだと思う?」「これからどうすれば、算数の成績が上がると思う?」といった声かけです。何が悪かったのかを子ども自身に気づかせることが、今後の学びの姿勢を作るために大変重要です。
そして保護者と一緒に、改善に向けての計画を立てましょう。それが自律的に学習することへの第一歩になります。

どんな結果であれ、一番はお子さまの日々のがんばりを認め褒めてあげることです。「毎日学校に行けただけでもすごいことだよ」と声をかけてあげるだけでも、お子さまにとっては大きな自信につながります。

通知表を受け取ったとき、親がとるべきリアクション

  • ・結果より「努力した、がんばった」過程をほめる
  • ・お子さまが努力した過程を思い出せるように具体的にほめる
  • ・結果が悪かったら親子で一緒に原因を考えてみる

通知表の成績アップでご褒美」は要注意?!「やる気」が下がる原因にも【子どもの心理学】

まとめ & 実践 TIPS

お子さまの通知表の成績を見て、想像していた以上に成績が悪かったら、保護者のかたは、うっかりNG行動をとってしまいそうになるかもしれません。
そんなときは、ぜひ一呼吸。心を落ち着けて、まずは「できていること」を探して褒めてあげるようにしましょう。
どんな成績であれ、お子さまは以前よりも必ず成長しています。
通知表は今後の改善に向けての通過点のひとつにしか過ぎません。通知表をきっかけに、今学期にお子さまが努力した過程を親子で前向きに振り返り、お子さまの次に向けてのモチベーションをしっかりと高めてあげましょう。

プロフィール



筑波大学人間系准教授。博士(心理学)。筑波大学大学院博士課程,鹿屋体育大学講師を経て現職。主な専門領域は教育心理学。教室環境(友人関係、教師との関係、教室環境など)が子どものモチベーションに及ぼす影響や自己認知について研究している。著者に『実力発揮メソッド—パフォーマンスの心理学』(講談社)、『行動を起こし、持続する力—モチベーションの心理学』(新曜社)他。

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