その“イライラ”は“ニコニコ”のもと“イライラ”の中にある“笑顔のもと”を探そう [スーパー保育士のお悩み相談]

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子どもはとてもかわいいですよね。でも毎日一緒にいると、どんなお母さんでも、つい叱りたくなったり、イライラしてしまったりすることがあると思います。
よく「子どもを怒りたくなったときは10数えよう」とか「イライラしたときはその場から離れよう」などと言われますが、そのときになったらそんな悠長なことはできないものです。では、どうすればよいのでしょうか。

イライラしてしまう出来事の中にも笑顔のもとがある

どんなに大変なことでも、その中には自分を笑顔にしてくれる部分は必ずあるものです。たとえば一人で街を歩いていて、傘がないのに突然大雨が降ってきたなら、みんな困った顔をしますよね。でも、もしも友達と一緒に楽しく歩いているときならば、二人とも笑いながらずっと笑顔で逃げ惑うはずです。そう、突然大雨が降ってくるということは、困ることでもあるけれど、思わず笑ってしまうほどおかしいことでもあるというわけです。

今にも電車が来そうなホームの階段を駆け上がるときも、数人の仲間と一緒のときならば、どんなにしんどくても笑いながら駆け上がるものです。面白いのは、それで電車にギリギリ間に合わなくても笑顔になることです。人は、本当ならイライラしてしまうことや大変なことでも、その中にある「楽しさ」「面白さ」を上手に見つけて、笑顔になることができるのです。

それは子育ても同じです。ついイライラしてしまう状況の中にも、自分を笑顔にしてくれるものが無数にあるのです。それが見えるようにさえなれば、「イライラしない子育て」「笑顔の子育て」が毎日できるのです。

イライラのもとをニコニコ笑顔のもとにするヒント

ある喫茶店で、幼稚園のママ友同士2人が子どもたちと一緒に楽しそうにおしゃべりをしながらソフトクリームを食べていました。その途中、ソフトクリームが顔中についてしまったわが子を見て、ママたちの口から同時に声が出ました。

一人のママは、「もうっ! いっぱい顔につけて!」と怒ったように言いながら、子どもの顔を拭きました。でも、もう一人のママは、「あらら、お顔についちゃった! お化粧みたい」と、まるで楽しいことのように言いながら笑顔で顔を拭きました。

子どもがしたことは同じなのに、それを見てイライラしてしまったお母さんと、思わずニコニコ笑顔になったお母さん。その違いはどこから来るのでしょうか?同じ子育てをするなら、ニコニコ笑顔で楽しく子育てする方がいいですよね。

我が子はかわいいと思いつつも、子どもの行動についイライラしてしまうことがあると思います。本当は子どもの前では笑顔でいたいと思っているのに、叱ってばかり……というお母さんは少なくないのではないでしょうか。
子どもの前でずっと笑顔でいるのはなかなか難しいことですが、ちょっと見方や考え方を変えるだけで・・・、ほら、み~んな笑顔になれますよ。

(1)子どものする「考えられないこと」が、「不思議なこと」「面白いこと」になる

子どもはよく「考えられないこと」をします。自分の体中に落書きをしたり、ティッシュを全部取って部屋中をティッシュだらけにしてしまったり……。
もう怒るのを通り越して溜息しか出ないことも。

でも、その一つひとつは、考えようによっては思わず笑ってしまうほどの実に面白いことでもあるのです。
その証拠に、もしも突然やってきたおじいちゃんやおばあちゃんがその様子を見たら、怒るどころか笑うはずです。

後片付けなどのことを考えるとママは笑ってはいられないかもしれませんが、そう言うママも、もしも友達の家で同じ光景を見るときっと笑っているはずです。
子どもが何かをしでかしてくれるたびに、「へえ、子どもってこんなことをするんだ」「これが楽しいなんて不思議」と思うだけで、イライラする前に思わず笑ってしまうはずです。子どもがつい怒りたくなってしまうようなことをしたときは、「待てよ、これは、またひとつ笑顔になれるチャンスかもしれない」・・・、そんな目で見るだけで、イライラもずいぶん減っていきますよ。

(2)子どものすることはすべて「過失」だと思う

子どもが牛乳をこぼすと「こぼしちゃダメでしょ!」と叱ってしまうママも、自分がこぼしたときは「あ、こぼれた」としか言わないものです。こぼれたことを笑うママもいます。同じ失敗でも、子どもがしたなら「とんでもないこと」のように見え、自分がしたら単なる過失としか見えず思わず笑ってしまうというわけです。 確かにそれは過失です。でも、子どももその失敗のほとんどは「過失」です。そこに悪気はまったくないのです。

そしてその過失は、生まれてまだ間もないことから来る明らかな「経験不足」「知識不足」が原因であることがほとんどです。そう思うと、子どもの行動に対する見方が変わり、子どもが何かをしても、そのときに出てくる言葉がうんと変わり、笑顔が出てくることも増えますよ。

(3)子どもの困った性格も、「それを作ったのは100%、自分たち」と思えばいとおしく……

子育てにおけるママの悩みで、「しつけについて」に次いで多いのが「子どもの性格について」です。「どうしてこんなに落ち着きがないのかな」、逆に「どうしてこんなにおっとりとしているのかしら」などなど、1歳のころからはっきりとわかりだす子どもの性格について思い悩むお母さんは多いもの。

でもそれらの性格はそれまでの育て方や、環境などのせいではなく、持って生まれたものであることが多いもの。そしてその性格はどこから来たかと言うと……100%パパとママからの遺伝です。子どもの性格は間違いなくパパとママが作ったもの。それを否定することは自分たちを否定することと同じ。そう思うと、気になる子どもの性格も、いとおしいものに思えるようになり、その性格が出るたびに思わず笑顔になってしまいますよ。

昨日のイライラ、いくつ思い出せる?

子育ての中でついイライラしてしまうことがあるというかたに、ちょっと試していただきたいことがあります。

昨日、お子さんのことで、イライラしてしまったこと、思わず「もうっ!」と言ってしまったことをいくつ覚えていますか? 紙に書き出してみてもよいですよ。
さあいくつ挙げられましたか?

このようなことを試してみると、たいていの人は書けて3つ。中にはひとつも書けない人もいるのです。どうして書けないかと言うと、その一つひとつが、一日経つともう思い出せないほどの“何でもないこと”だったからです。

そう、多くのかたは、実は毎日、明日になるともう忘れてしまう「ごく、なんでもないこと」にイライラしてしまっているのです。そんなことで毎日心を乱すのはもったいないことですよね。

子どもが何をしても、よく考えればそれは「なんでもないこと」。仮に3つ覚えていたとしても、次の日ならば、笑って人に話せることばかりではないでしょうか。
どうして笑って言えるのかと言うと……そう子どもがすることってやはりすべて、“イライラのもと”ではなく、“ニコニコのもと”だからです。

もしも仮に、その日イライラしてしまった子どものその行動と、そのときの自分の様子をビデオで撮って、寝る前に見返したとすると、たいていの人は、笑ってしまうはずです。子どもの様子に再びイライラするどころか、子どもをかわいく思えたり、その様子がこっけいに見えたりし、そんなことにいちいち腹を立てている自分に対してもおかしくなるのです。

それはもちろん時間の経過がそうさせているのかもしれませんが、そもそも子どものすることって、あとで見返すと笑えることばかりで、イライラする必要なんてないことばかりだったからなのです。

お子さんが生まれた時のことを思い出してみましょう

子育ては楽しいものですが、子どもが成長していく過程では、日々、悩みや困ることもたくさん出てきます。
毎日笑顔でいられたら……と頭では思っていても、子どもの行動にイライラして、つい強く叱りすぎてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、お子さんが生まれた時のことを思い出してみるのもおすすめです。

20年前のビデオを見て泣く母の涙のそのわけは……?

お子さんが小さかったころの自分の姿を見て、思わず涙が出たお母さんのエピソードを一つご紹介します。

我が子が2歳のときに行った家族旅行のビデオを見て泣いているお母さんがいました。懐かしくて泣いたのではありません。そこに映った、ある場面を見て泣いたのです。

そこには旅行先のある観光地で、子どもが泣きながら「だっこだっこ」と言っているのに、抱っこをしないどころか、子どもを叱り、次々と冷たい言葉をかけている自分が映っていたのです。

「あんなにかわいい子どもが、あんなに抱っこをしてほしがっているのに、どうして私はあんな冷たい言葉ばかりかけたのだろう。どうして優しい言葉のひとつもかけなかったのだろう。ああ、今すぐ画面の中に入って抱っこをしてあげたい!」とそのお母さんは思ったそうです。それで思わず涙が出てきたのです。

どんな場面であれ、子どもがお母さんに甘える様子は、そばで見ていると、なんともほほえましい、幸せな親子のようにしか見えないときもあります。もしかしたら、当時のビデオを見て泣いたあのお母さんの涙も、それは後悔の涙だったかもしれませんが、もしかしたらそのときの幸せに改めて気づいた、まさに「幸せの涙」だったのかもしれません。

“一番の願い” がかなっている幸せを味わおう

「もう! うちの子は、どうしてこんなに落ち着きがないのかしら……」
「好き嫌いばかり言って本当に困ってしまう……」
子育ては楽しいものですが、悩みや困ることもたくさんやってきます。

でも、お子さんが生まれたとき、お宮参りで、神様にこう願いませんでしたか?
“どうかこの子が健康で、すくすく大きくなりますように!”
子どもが生まれた時の一番の願いは、だれもがそうだったはず。
「どうか落ち着きがある子になりますように」「好き嫌いを言わない子どもになりますように」なんて願わなかったのではないでしょうか?
もし願ったとしても、そんなのは順番で言えば20番目30番目の願いだったはずです。

仮に今、お子さんに落ち着きがなく、好き嫌いが多かったとしても、それはあの一番の願いがかなったからこそ。今、抱えている悩みのほとんどは、あのときの願い通り、お子さんが健康ですくすく大きくなったからこそ出てきた悩みとは言えないでしょうか?

まとめ & 実践 TIPS

「我が子が生まれた時に願った、あの“一番の願い”はかなっている!」
そう考えるだけでも、“イライラのもと”と思えていたものが、急に“ニコニコのもと”と思えるようになってくるかもしれませんよ。
すくすくと育ってくれた我が子と、“一番の願い”をかなえてくれた神様に感謝!ですね。

プロフィール


原坂 一郎

KANSAI こども研究所所長。23年間の保育所勤務時代には、どんな子どもも笑顔になるユニークな保育が注目され「スーパー保育士」と呼ばれた。現在は「こどもコンサルタント」として、子どもおよび子育てに関する研究・執筆・講演活動を全国で展開している。

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