ネットいじめのLINE相談 10月は深刻化な相談が増える傾向

いじめを未然に防止するため、LINE(ライン)をはじめとしたインターネット交流サイト(SNS)を使って、気軽に相談しやすくしようとする取り組みが、全国的に広がっています。文部科学省も、2018年3月に報告をまとめ、自治体などの取り組みを促しています。ただし、対面の相談に比べれば、まだ始まって間もない試みだけに、効果的な相談をどう行っていけばいいのか、手探りの部分もあります。子どもたちは実際、何を考えながらSNS相談をしているのでしょうか。

この記事のポイント

ネットいじめは2月もあるのに…

ネットいじめの実証研究を続けている原清治・佛教大学教授らの研究グループは、9月にオンラインで開催された日本教育社会学会の大会で、最新の研究成果を発表しました。
研究グループでは19年度、LINE相談を行っている近畿圏のある市で、全18中学校を対象に、各学年2~3クラスを抽出して、アンケートを実施しました。
同市内のネットいじめの発生率をみると、5月、10月、2月に増えるという、3期の「リスクターム(危険な期間)」があることが分かりました。3学期制の場合、いずれも学期が始まって1カ月たった段階です。10月と2月の発生率は、同率でした。
しかし、LINE相談件数をみると、5月と10月は増えましたが、2月には増えませんでした。

試しながら相談、諦めも

相談の内容をリスクターム別に見ると、5月の第1リスクタームには、人間関係をつくる初期段階でのトラブルに関する相談が多い一方、いじめ以外の人間関係や、恋愛相談などもあるといいます。これについて研究グループでは、子どもの側も、本当に相談相手として信頼できるのか、試しながら相談しているとみています。
そうしてLINE相談に安心感を得た子どもが、深刻化しつつあるいじめについて、10月に相談するようになるわけです。
では、2月に相談しなくなるのはなぜでしょう。研究グループは、▽「あと少しでこのクラスと離れるから」と割り切って生活している▽過去の書き込み(ログ)を見直すことで、自分の行動を顧みている▽第2リスクタームまでで「もういいや」と見切りをつけて、相談に戻ってこない——といった要因を推測しています。「クラスで試行錯誤しながら現状をやり過ごす」のが、中学生の実態だとみています。

リアルと近いいじめ、さらなる解明を

これまで研究グループは、超進学校にもネットいじめがあること、高校の偏差値別でネットいじめの対象にも違いがあること、ネットコミュニケーションを頻繁に行う生徒ほどネットいじめに遭うリスクが高まることなどを明らかにしてきました。一方で、ネットいじめがリアルいじめに近いことも、分かってきたといいます。

まとめ & 実践 TIPS

学校の学習活動が、いろいろな子どもによる集団生活を基本にしている以上、人間関係のトラブルは避けられません。それを深刻ないじめに発展させないためにも、ささいなトラブルを解決できる良好な集団づくりが求められます。そのためにも、ネットを含めたいじめの構造の解明とともに、効果的な取り組みや相談体制はどうあるべきか、子どもの実態や心理に寄り添った、さらなる研究が待たれます。


・佛教大学 原清治研究室ホームページ
https://hara-kiyoharu.bukkyo-u.ac.jp/

・文部科学省 いじめ防止対策協議会 「SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/131/houkoku/1404563.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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