いじめ対策には未然防止も重要!

文部科学省の検討チームが、いじめなど生徒指導上の課題への対応として、未然防止の原点に立ち戻るよう求める報告をまとめました。いじめをめぐっては、2013年に「いじめ防止対策推進法」ができましたが、同法で定めた「重大事態」は、減るどころか、むしろ増加傾向にあります。子どもたちが安心して楽しく通えるよう、魅力ある学校づくりや居場所づくりが求められます。

この記事のポイント

省内チームが「教師間」も含め検討

検討チームは、第4次安倍第2次改造内閣(文部科学相は萩生田光一氏)下の2020年1月、亀岡偉民副大臣(当時)が座長を、佐々木さやか政務官(同)が副座長を務め、省内幹部をメンバーとして発足。9月までに有識者ヒアリングなど4回の会合を経て、報告をまとめました。亀岡副大臣と佐々木政務官は19年9月、神戸市立小学校で教員同士の「いじめ」が問題になった際、神戸市教育委員会を訪問して直接、指導を行っています。
検討事項は、(1)児童生徒の自己肯定感の向上や人間関係づくりによる魅力ある学校づくりの推進 (2)多様な児童生徒の状況に対応した支援・指導体制の確立 (3)教師間ハラスメント対策……でした。

事後対応に重き置き過ぎを反省

報告では、これまでの文科省の取り組みが「どちらかといえば、いじめの早期発見や重大事態の調査など、事案が発生した後の対応の周知や支援等に重きが置かれてきた」と反省の弁を述べています。
学校の生徒指導(生活指導)は▽成長を促す指導▽予防的な指導▽課題解決的な指導……に分けられます。目前の問題行動に対応するといった「課題解決的な指導」ばかりでなく、「成長を促す指導」や「予防的な指導」によって、問題行動そのものを未然に防止し、あらゆる場面を通じて、積極的に生徒指導を行っていく必要性を訴えています。

「重大事態」むしろ増加

いじめ防止法は、学校に対して、「学校いじめ防止基本方針」を定め、対策組織を設けるだけでなく、生命や心身に重大な被害があるなどの「重大事態」が起きた場合には、自治体の首長に報告することも義務付けました。
しかし、2018年度の重大事態は602件と、前年度に比べ27%も増えています。また、暴力行為は15%増の7万2,940件、小中学校の不登校も14%増の16万4,528人と、深刻化しているのが現状です。

まとめ & 実践 TIPS

いじめの未然防止をめぐっては、国立教育政策研究所が2012年9月にリーフを作るなど、啓発していました。実態把握や事後対応に追われるあまり、未然防止がおろそかになっていては困ります。
新学習指導要領では、授業に「アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)」を導入することが求められます。それには、クラスの良好な人間関係が欠かせません。逆に、ALを通して、お互いのよさを認め合い、人間関係を良好にできるという、好循環にもつながります。いじめ「対策」ばかりでなく、学習指導と生徒指導を一体とした学校全体の取り組みで、魅力ある学校をつくっていってもらいたいものです。


魅力ある学校づくり検討チーム
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/mext_00920.html

「生徒指導リーフ」シリーズ
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/index.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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