THE世界大学ランキング日本版 東工大躍進の陰に「教育充実度」 在学生の評判にも注目!

東北大が2年連続トップで、東京工業大が単独2位に……。英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が発表した「THE世界大学ランキング日本版2021」には、一味違った大学の順位が現れています。研究力が重視されがちな世界版に対して、教育力を測ろうとしたのが、日本版の特色です。これからの大学選びには、各大学が授業の改善にどれだけ力を入れ、向上させているのかも、注目する必要がありそうです。

この記事のポイント

東工大躍進の陰に「教育充実度」

前年の総合トップスリーは、①東北大②京都大③東大、東工大(同率)……でした。それが2021年、京大は4位に後退し、東工大が順位を上げました。

THEによると、東工大の躍進には、四つの評価分野のうち、学生や高校教員の声を反映した「教育充実度」(19年25位タイ→20年9位→21年5位)の上昇が大きな要因となっています。近年、わかりやすいニュース解説で知られるジャーナリストの池上彰さんを専任教授(現在は特命教授)に招いたことに代表されるように、幅広い教養教育にも力を入れてきたことが、学生自身にも評価されての結果だと言えそうです。

なお、教育充実度分野のトップスリーは、①国際教養大学②国際基督教大学③立命館アジア太平洋大学……です。大学関係者なら納得の「知る人ぞ知る」大学ばかりです。

入試改革に先行する「大学教育改革」

国内に視野を絞っても、いま日本の大学には、教育の改善を重視した改革が迫られています。
「高大接続改革」というと、つい大学入試(大学入学者選抜)改革のことばかり思い浮かべてしまいますが、本来は、大学教育、高校教育、そしてその間をつなぐ大学入学者選抜を、一体で改革することを目指したものです。しかも三つの改革の中では、大学教育改革が先行していました。
THEによると、私立大学は「教育充実度」で強みを発揮しています。同分野のトップ50では、津田塾大学(15位タイ→9位)、東京理科大学(22位→12位)、芝浦工業大学(46位→34位)などの上昇が目立つとしています。積極的な大学教育改革が、成果を上げていると見ることができます。

文科省も「学生調査」本格実施へ

THE日本版に見られる通り、大学の評価には、学生自身の声を聴くことも重要です。
文部科学省も、「全国学生調査」の本格実施を目指しています。学生にスマートフォン(スマホ)で10分程度、質問に答えてもらうことで、大学の授業を評価してもらおうというものです。

試行調査の第2回は、2021年11月ごろに行われる予定です。現在は全体概要しか公表されていませんが、本格実施になれば、他大学との比較や、経年変化もわかるようになるかもしれません。各大学の改革努力そのものが「見える化」されるわけです。

まとめ & 実践 TIPS

主な大学入学年齢である18歳人口が減少するなか、各大学には、いい意味での競争が求められています。偏差値や過去の評判に安住し、改革を怠っていては、他の大学に追い越されるかもしれません。
THE日本版の結果を分野別などで詳しく見ると、意外な大学名が見つかるかもしれません。これからの大学選びには、無視できない視点になりそうです。

THE世界大学ランキング日本版2021
https://japanuniversityrankings.jp/topics/00187/

文部科学省 全国学生調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/chousa/1421136.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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